今後「物価安定の目標」2%に収束していくのか~「多角的レビュー」の意義~

 ちなみに、リードグループ(図表2で除いた「光熱・水道」、「ガソリン」を含む)を今後2%、アンカーグループを今後1%のペースで上昇するとした場合の生鮮食品除く総合指数が、図表3の青点線になります。この前提では、当然のことですが、物価安定の目標2%には届かず、前年比1.5%ペースで推移することになります。

<図表3 消費者物価の先行き>

(出所)総務省、楽天証券経済研究所作成

 もちろん、公共料金や家賃を含むアンカーグループが今後上昇ペースを上げていけば、「物価安定の目標」2%の持続的・安定的な実現も展望できるでしょう。ただし、アンカーグループは国民の生計費に大きな影響を及ぼす品目が多く、消費が耐えられるのか甚だ疑問です。

 多角的レビューでなぜ2%が実現できなかったのかを解明するのはもちろん重要なことですが、そもそも日本経済にとって2%が妥当な水準なのか、2%が実現できなかった場合に金融政策運営をどうするのかについても、そろそろ真剣に議論すべき時期に来ているように思われます。そうした議論につなげるところにこそ、多角的レビューの意義があるように思うのですが。