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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「NYダウ・ナスダック最高値、日経平均はやや上値重い。今期減益見通し」
米国株最高値、日経平均も戻り試す
先週(営業日5月13~17日)の日経平均株価は、1週間で558円上昇して3万8,787円となりました。米景気・企業業績が良好で、米国株の主要株価指数(ダウ工業株30種平均、ナスダック総合指数、S&P500種指数)が一斉に史上最高値を更新したことから、日本株にも戻り試す動きが出ました。
ただし、好調な米国株に比べると、日本株の上値は重くなっています。ちょうど3月決算の発表がほぼ終わったところです。前期(2024年3月期)の増益率は想定以上に高かった半面、今期(2025年3月期)の業績予想が控えめ(低め)に出ていることが、日本株の上値を抑える要因となっています。
ドル円為替レートが不安的になっていて、円高に転換する可能性があることも、日本株の上値を抑えています。
NYダウ・日経平均の動き比較:2022年12月末~2024年5月17日
5月に入ってから発表された米景気指標が、市場期待よりも少しだけ弱めに出ていることから、9月にも米利下げが見込めるとの思惑が広がり、米国株の最高値更新につながりました。
以下、三つが米景気のモメンタム(勢い)低下を示すと解釈されました。
【1】3日発表の4月米雇用統計:雇用増加がやや鈍化
【2】15日発表の4月米小売売上高:前月比横ばいで市場予想を下回った
【3】15日発表の米CPI(消費者物価指数):インフレがやや鈍化
米インフレ率(CPI総合指数・コア指数の前年同月比上昇率)推移:2020年1月~2024年4月
4月の米景気指標は、市場の期待よりやや低かっただけで、決して米景気が弱いことを示すものではありません。米景気が堅調な中で、9月にも米利下げがあるかもしれないという期待が、米国株を最高値まで押し上げた形です。
大型ハイテク株を中心に、米国の企業業績が良好な中で、金利上昇に歯止めがかかる見通しが出たことが、米国株の最高値更新の原動力となりました。