インドは2027年に「世界3位の経済大国」に躍り出る見込み

 図表1で示す通り、インド株式(ニフティ50指数)の5年総収益(年率)や10年総収益(年率)はS&P500、オールカントリー、日経平均株価を上回ってきました。米国を中心に世界株式が4月に調整した中、ニフティ50指数は4月10日に過去最高値を更新しました。

 インド株式が堅調である背景は、「グローバルサウスの雄」と呼ばれる同国が「高度経済成長期」入りしていることが挙げられます。総人口(14.2億人超)は2023年に中国を上回り「世界最多」となったほか、平均年齢が28歳と若く「生産年齢人口」の成長が続き、インド経済は内需中心の「人口ボーナス期」(働きざかり)に入りました。

 2014年に就任したモディ首相が推進してきた「モディノミクス」(構造改革)の効果も大きく、IMF(国際通貨基金)が3月に発表した最新の「世界経済見通し」によると、インドの実質GDP(国内総生産)成長率は2024年に+6.8%、2025年も+6.5%と中国を上回り主要国で最高です。

 また、IMFが半年ごとに改定する最新の「名目GDP長期予想(ドルベース)」では、インドの名目GDPは2025年に日本を上回り「世界4位」に浮上。2027年にドイツを抜き「世界3位」に躍進する見通しとなっています(図表2)。

<図表2:インドの名目GDPは日本とドイツを上回り「世界3位」へ>

(出所)IMF予想より楽天証券経済研究所作成

 最近の注目点として、モディ政権の存続を決める5年に一度の下院総選挙(543議席)が4月19日に始まり6月1日まで続いていることが挙げられます。「世界最大規模の民主選挙」と呼ばれ、有権者総数が約9.7億人に及ぶインドでは毎週全土で投票が実施され、6月4日に一斉開票される予定です。

 高い経済成長を追い風に、モディ首相の支持率は(就任後10年を経た現在でも)70%以上とされ、優勢が伝えられるインド人民党(BJP:ヒンズー至上主義政党)を中心とする与党連合が過半数以上を維持して総選挙で勝利すると、モディ首相の3選(任期5年)が決まり、政権安定、構造改革推進、高度経済成長が続いていくとの確信が強まると見込まれます。