クイズの正解:すぐに買ってもいいのはB社

 A社はテクニカル(チャート分析)だけで判断するならば「売り」、

 B社は、テクニカルだけで判断するならば「買い」です。

 従って、すぐに買ってもいいのはB社、買わずに様子見をした方がいいのはA社です。

 A社チャートは、以下4点において、短期的に下値リスクを警戒した方がいい状態です。

<再掲:A社チャート(解説用)>

出所:筆者作成

 チャート中に、テクニカル分析で重要な四つのポイント【1】~【4】を書き入れています。その解説について、以下をお読みください。

【1】13週移動平均線、26週移動平均線とも「下向き」に転じる

 13週・26週移動平均線は、ファンダメンタルズの変化にともなって、緩やかに変化します。2018年は上昇トレンドが続いていましたが、2019年に入り「下向き」に転じました。ファンダメンタルズに何らかの異変があり、株価トレンドが変わる可能性があります。

 なお、足元の株価(5,180円)は、直近の高値(7,150円)から28%下げた水準です。20%を超える急落は、なんらかの悪材料によって起こったと思われます。

【2】上値に「しこり」を抱えた

 株価は、2018年に売買高が一番大きかった株価水準(5,800円)を下回りました。ここで買った投資家の多くは、「しまった、売りタイミングを逃した」と悔しがっており、今後、戻り売り姿勢に転じる可能性があります。株価がすぐに反発しないと、諦めて損切りする投資家が出る可能性もあります。

【3】高値圏で売買が減少していた

 株価6,000~7,000円の高値圏で、売買高が減少しつつありました。つまり、高値で買う投資家が減少していたことが分かります。

【4】株価急落時に、売買高が急増している

 なんらかの情報に基づいて、大慌てで売ってきている投資家がいることが分かります。

 B社チャートは、A社チャートの上下をひっくり返して作っています。上下が逆さまになっていますので、テクニカル判断は、B社とちょうど正反対となります。

<再掲:B社チャート(解説用)> 

出所:筆者作成

【1】13週移動平均線、26週移動平均線とも「上向き」に転じる

 2018年は下降トレンドが続いていましたが、2019年に入り「上向き」に転じました。ファンダメンタルズが改善して、株価トレンドが変わる可能性があります。

【2】上値の「しこり」が解消

 株価は、投げ売りで売買高が一番大きかった株価水準(4,300円)を上回りました。ここで買った投資家の多くは、一時含み損を抱えて、戻り売り姿勢になっていた可能性があります。ところが、足元の株価急騰で含み損が含み益に変わったため、押し目買い姿勢に転じる可能性があります。

【3】安値圏で売買が減少していた

 株価3,000~4,000円の安値圏で、売買高が減少しつつありました。つまり、安値で売る投資家が減少していたことが分かります。

【4】株価急騰時に、売買高が急増している

 なんらかの情報に基づいて、大急ぎで買っている投資家がいることが見て取れます。

 以上の理由から、B社はすぐに買っていいが、A社の買いは見送りとすべきです。

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