3 デンカ(4061・東証プライム)

 インフルエンザワクチンや新型コロナウイルスの検査試薬などを扱うライフイノベーション部門、リチウムイオンバッテリー向け導電助剤や放熱材料・基板、機能性フィルムなどを扱う電子・先端プロダクツ部門、機能性エラストマーやインフラ強靭(きょうじん)化に必要な特殊混和材などを扱うエラストマー・インフラソリューション部門、スチレン系機能樹脂や食品包装用シートなどを扱うポリマーソリューション部門を展開する化学会社です。

 2024年2月には、海外子会社におけるノロウイルスワクチン開発中止を発表しています。

 2024年3月期第3四半期(4-12月期)営業利益は125億円で前年同期比51.8%減になりました。電子・先端プロダクツでは、民生向け需要減やアセチレンブラックの高圧ケーブル向け需要低調が響きました。エラストマー・インフラソリューションも、クロロプレンゴムの需要低調、米国子会社のコスト増などで大幅減益となっています。

 通期予想は従来の190億円から110億円、前期比66.0%減に下方修正しました。主力製品の需要が想定を下回っているほか、クロロプレンゴムが能登半島地震により一時操業停止となった影響も響くようです。なお、年間配当金は前期比横ばいの100円計画を据え置いています。

 2025年3月期営業利益は220億円程度がコンセンサスとなっているようです。半導体封止材に使われる球状シリカの出荷増などが期待できるとみられています。在庫評価減などの影響も軽減するとみられます。

 同社では、品質不正問題の発覚、米司法省からの環境関連訴訟提起、国内での配管破裂事故などが重なり、コンプライアンスに対する懸念が強まりました。そのため、株価は長期的な低迷状態が続き、割安感も強まっている状況にあります。足元では、クロロプレンモノマーの大幅な削減を求める米環境保護庁の新規制も不透明要因となりつつあります。

 ただ、クロロプレンモノマーは赤字が続いてきたプラントでもあり、今後の収益改善策はプラスに受けとめられる可能性もありそうです。

4 平和(6412・東証プライム)

 パチンコ・パチスロなど遊技機の大手企業です。子会社のPGMホールディングスではゴルフ場の保有・運営を行っており、ゴルフ事業も主力分野となっています。遊技機では「ゼロタイガー」「ビッグシューター」「CR黄門ちゃま2」「アントニオ猪木という名のパチスロ機」など多くのヒット作を投入してきました。

 2023年3月期のパチンコ機・パチスロ機販売台数は12万6,894台を数えます。一方、ゴルフ場数は2024年12月末現在で148となっています。PGMグループでは「PGMホテルリゾート沖縄」を2026年に開業予定ともなっています。

 2024年3月期第3四半期(4-12月期)営業利益は193億円で前年同期比31.4%減となっています。ゴルフ事業が大幅増益となっている一方、遊技機事業は主にパチンコ機の販売台数減少によって大幅減収減益となりました。第3四半期決算時に、通期営業利益予想は従来の300億円から226億円、前期比16.0%減に下方修正しています。

 パチンコ機需要の伸び悩みによる総販売台数の減少のほか、型式試験適合に時間を要したことで計画していた数機種の投入を来期に見送ったことも背景のようです。なお、年間配当金は前期比横ばいとなる80円計画を据え置いています。

 2025年3月期の営業利益コンセンサスは300億円程度とみられています。遅れていた新機種投入効果などでパチンコ機の販売が底打ちするとみられるほか、パチスロ機は2024年2月以降に投入した最新スマスロ機種の「Lパチスロガールズ&パンツァー最終章」「L南国育ち」などのフル寄与が見込めます。

 ゴルフ事業も「女性におすすめのゴルフ場」20コース選定やサポートプロが在籍する「withGolf」などの施策効果によって、順調に収益拡大が続くものと想定されます。

5 パーソルHD(2181・東証プライム)

 人材総合サービス業界の大手企業の一角です。人材派遣の「テンプスタッフ」創業でスタートし、「doda」ブランドの人材紹介や求人広告なども主力分野となります。

 国内派遣稼働スタッフ数は約12万6,000人(2023年12月1日現在)、国内求人数は約31万2,000件(2024年2月時点)、年間取引社数は約4万6,000件(2022年度実績)、海外サービス展開エリアは13エリア・187拠点(2024年2月時点)となっています。海外では特にアジア市場に強みを持っています。

 2024年3月期第3四半期(4-12月期)の営業利益は409億円で前年同期比4.7%減となっています。コロナ関連案件の剥落によるBPO事業の大幅減益が響く形となっています。通期営業利益予想は第3四半期決算時に下方修正、従来予想の545億円から490億円、前期比14.6%増に引き下げています。

 新型コロナ収束後の著しく過熱感のあった人材需要が落ち着きを取り戻しつつあり、人材紹介事業、人材派遣事業ともに一服感が見られているもようです。配当性向は調整後EPS(1株当たり利益)の50%を基準としていますが、従来計画の年間8.6円(株式分割考慮後)を据え置いています。

 2025年3月期営業利益コンセンサスは前期比10%前後の増益となっているようです。コロナ禍での成長スピードは今後鈍化するとみられますが、巡航速度の成長は続くものと考えられます。とりわけ、企業の賃上げ傾向が続く中で、価格転嫁の流れが人材市場にも波及してくればメリットとなります。

 また、転職市場は構造的な拡大が期待されており、この市場において高いブランド知名度を有する同社は、ボリュームゾーンの若年層を中心として、業界平均を上回る成長が続く可能性も高いでしょう。