今日の為替ウォーキング

今日の一言

夢を持つということは、つまるところ、計画を立てるという行為の一種である

Boys Are Back In Town

 日銀はマイナス金利の解除を決定し、2007年2月以来となる利上げに踏み切った。しかし、日本は17年前に比べて何か変わったのだろうか。変わったかもしれないが、良くなったとは断言はできない。むしろ悪化しているかもしれない。日本の対GDP(国内総生産)比債務は約250%まで膨れ上がった。2007年の約180%、2013年のアベノミクス開始時の220%よりも増えている。

 都合のいいことに、日銀も政府もアベノミクスが何だったのか忘れてしまったようだ。日本経済の再構築と銘打たれたアベノミクスは、経済成長を加速させ長期的な潜在成長率を引き上げることを目的に掲げ、外国からの投資を呼び込み、国内雇用を増大することで日本の財政は劇的に改善するはずだった。インフレ率2%も、高度で高速な経済成長のアウトプットという位置づけであり、それ自体が目的ではなかった。

 現在のインフレは、日銀ではなくロシアのプーチン大統領が引き起こしたものだ。そこに企業が利益を上乗せしてさらに高くした。日銀は自ら作り出したものではないインフレを最大限に利用して政策を変更したのだ。

 アベノミクスの世界では、企業は働き手を奪い合うようになり、需要主導による所得増加が実現するはずだった。現実はどうかというと、物価高に追いつかせるためのいわば供給主導による所得増加が行われているだけだ。2024年のベア平均は5.28%伸びたが、食料品の平均値上げ率19%には追いついていない。

 日本は「2025年問題」に直面している。「2025年問題」とは、国民の5人に1人が後期高齢者(75歳以上)という超高齢化社会を迎える時代において労働力不足や医療費増加が爆発的に加速する問題を指す。日本では第二次大戦後のベビーブーム世代の最後が75歳に達し最初が80歳になる一方で、人口は16年前の2008年にピークを迎え、2010年からは急激な人口減少が続くと予測されている。我が国いわば、人口不均衡の最悪の局面を迎えようとしているのだ。

 日本人の貯蓄意欲は高く、投資意欲は低い。一方、インフレを支えてきた円安も、FRBが利下げに踏み切ったあとも続くと保証されるわけではない。日本はなにも変わっていないように思える。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成