2023年下期の持ち直しで業績底入れか、テレビ番組の売掛金回収がリスク要因に

現地コード 銘柄名
01981

華夏視聴教育

(キャセイ・メディア・アンド・エデュケーション)

株価 情報種類

0.78HKD
(3/28現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 中国のテレビ番組制作会社であり、メディア・芸術系大学や専門学校を経営する華夏視聴教育の業績は2023年に底を打ったもよう。同年下期には売上高と調整後純利益がそれぞれ前年同期比37%増、296.5%増を達成し、上期比で好転した。これで2023年12月通期決算は、売上高が前年比15.6%増、純損失が1億9,600万元となり、調整後純利益は収支均衡に達した。粗利益率の悪化や販管費の増大で赤字決算となったものの、通期の売上高はBOCIの予想を14%上回る水準だった。BOCIは続く2024-25年の予想売上高を引き上げる半面、予想粗利益率を下方修正。さらに2024年の調整後純利益に関する予想を8,000万元に減額修正した。2024年予想PER(株価収益率)12.7倍をあてはめて目標株価を引き下げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年には高等教育部門の売上高が前年比5.6%増と堅調。部門粗利益率は前年の60.8%を下回ったものの、57%を維持した。同社全体の粗利益率は48.3%から36.6%に悪化したが、これはメディア部門の原価割れが原因。平均販売価格の低下とテレビ局からの売掛金回収の遅れにより、連続テレビ番組の制作事業が採算性を維持できなかった。また、教員人材やEコマース事業の拡充が影響し、全体の販売費と一般管理費が前年比80%、20.4%増大した上に、買収の撤回に伴う9,500万元の減損損失とテレビ番組在庫の評価損6,300万元を計上。これが通期の赤字要因となった。調整後純利益も損益分岐点ぎりぎりだが、同社は前年比50%増となる総額1億3,500万元の現金配当を予定している。

 高等教育部門の経営状況や採算性は安定的で、教師陣の増強が唯一のコスト増要因となった。地方政府が雇用対策として、学生数に対する教員数の基準を引き上げたため。教員数は前年の1,481人から1,895人に増えた。

 連続テレビ番組の制作事業は同社にとってのリスク要因。テレビ局の支払い能力が後退する中、番組の販売価格が低下。同社は新たなシリーズの制作を停止する決定を下した。テレビ番組関連の売掛金残高は現在1億7,000万元に達しており、向こう数年にわたって評価損が発生する可能性が高まっている。一方、Eコマース事業の売上高は8,100万元で、2023年の売上高に占める割合は10.7%。2024年には前年比80%の成長が期待できるという。

 BOCIは2024年の予想売上高を7億2,600万元から8億5,000万元に増額修正した(高等教育部門で前年比6%増、テレビおよびEC部門で33.4%増を予想)。半面、2024-25年の予想粗利益率を40%から38%に引き下げ、予想純利益を8,000万元に減額。調整後利益に関する予想も1億5,000万元に下方修正した。レーティング面での潜在リスク要因としては、テレビ番組関連の売掛金に関する評価損が2024年の利益下押しにつながる可能性を挙げている。