2023年下期決算は予想上振れ、製品構成の高度化やAIスマホの登場が追い風

現地コード 銘柄名
02018

瑞声科技控股

(AACテクノロジーズ)

株価 情報種類

22.70HKD
(3/22現在)

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 中国のスマホ部品メーカー、瑞声科技の2023年下期決算は、粗利益率の改善を背景に予想を上回る水準に達した。スマートフォン市場は引き続き低調で、競争環境も厳しいが、BOCIは好材料として以下を指摘した。◇製品構成の変化(小米集団やファーウェイなど、ハイエンドのアンドロイド機向けの比重拡大)。◇ベーパーチャンバー(VC)や金属製ヒンジのような革新的製品の増加。◇高dBマイクロフォンを必要とするAI対応スマホの登場――。また車載部品に関しては、国内外の主要メーカーからの受注増が追い風となっており、BOCIは同社業績が2024年に力強い回復を遂げると予想。買収したベルギーの車載用サウンドシステムメーカー、プレミアム・サウンド・ソリューション(PSS)の連結化に伴う収益の上乗せ効果も期待できるとした。2024年予想PER(株価収益率)20倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続した。

 2023年下期の売上高は前年同期並みの112億元。アンドロイド・スマホ向けの音響部品需要の低迷が響き、BOCIの予想を4%、市場予想を2%下回った。ただ、光学部品の粗利益率の回復が寄与し、全体の粗利益率は前年同期比1.5ポイント上昇の19.2%と、BOCIと市場の予想を小幅に上回る水準。光学部品の損失縮小により、下期の純利益は25%増の5億9,000万元と、BOCIおよび市場の予想を34%、21%上回った。

 品目別にみると、まず音響部品の売上高は下期に前年同期比11%減の42億元。世界的なスマホ需要の萎縮が響いた。ただ、ハイエンドのスマホスピーカーやファーウェイ向けの比重の拡大が寄与し、粗利益率は上期を5.2ポイント上回る30.7%。経営陣によれば、AIスマホの登場を受け、2024-25年も音響性能のアップグレードが続く見通しという。また、PSS社の買収により、同社の製品ラインはさらに充実し、今後は車載音響ビジネスの利益貢献度が高まる見込み。PSSは2月中旬に連結化されており、BOCIは2024年に売上高33億元、純利益2億元の上乗せを見込む。

 一方の光学部品の売上高は、下期に前年同期比36%増の19億元。粗利益率はマイナス9.2%(原価割れ)だったが、BOCIの予想を上回った。経営陣によれば、光学部品事業は2024年下期に採算ラインに乗せる見通しという。

 このほか、電磁駆動・精密機械の下期の売上高は6%増の46億元。スマホ用金属筐体や折りたたみ式スマホ用の金属ヒンジ、VC冷却の需要増がけん引した。BOCIは2024年も、ファーウェイの「Mate」「P」シリーズが、精密機械事業をけん引するとみている。

 BOCIはPSSの連結効果と光学部品の利益率改善を反映させる形で、2024年、2025年の予想EPS(1株当たり利益)を17%、12%増額修正。同社ビジネスが着実な回復・成長軌道に乗ったとみて、目標株価の算出基準を2024年予想PER20倍(過去3年の平均倍率に相当)へ、17倍から上方修正した。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。