損したくないなら知っておくべき活用法2:優待銘柄の株式情報の特徴をみる

 3月に最も盛り上がる優待投資ですが、配当同様に権利落ち日が近づくほど優待狙いの投資が増えることが想定されます。いつも当てはまるわけではありませんが、権利落ち日が近づくと株価が上昇し、権利落ち後には株価が下がる傾向にあります。

 株価の動きだけでなく、優待狙いでつなぎ売り(現物取引の買い注文+信用取引の新規売建注文をすることで、株価の下落リスクを抑えて株主優待を得る投資手法)をする際には、いつごろまでに新規売建をしておく必要があるのか?(信用取引の売建は人気銘柄の場合は権利落ち日より早い段階で売建てが上限になることが多い)を考えておきましょう。

 また、その企業がいつごろの決算発表を予定しているのか? それによる過去の株価変動は? 優待が何単元(100株〜など)から対象となるのか? 長期保有すると優待がより良くなるのか?など優待投資をするための株式分析をすることが優待投資を成功に導いてくれます。

 優待にだけ着目するのではなく、企業情報のチェック、配当も減配の可能性がないかなど確認しましょう。

 買いたい優待銘柄を見つけたら、どうやって購入するのが良いかを考えることが大切です。何となく権利落ち日が近づいてきたから購入するのではなく、その優待銘柄を丁寧に分析して「投資」をすることです。最低単元だけ買うのでなければ、何度かに分けて購入することで取得価格を平均化することも考慮してみましょう。

損したくないなら知っておくべき活用法3:企業の優待や株主への対応方針を知る

 株式投資をしていると意外なほど企業の決算資料を見ていない方が多いことに驚きます。私たちのような担当者がついているとしても、株式投資はハイリスク・ハイリターンであり、さまざまな情報で株価がある日突然大きく動くこともあるので、企業決算は特に重要な情報です。人づてではなく自分でも確認しておくべきでしょう。

 その中で優待投資をするなら企業の株主への対応を確認しておくことが重要です。特に優待を通じて企業がどんな効果を期待しているのか、また今後も継続していく方針なのかなど、もし分かるのであれば確認しておきたい項目です。

 決算書類とは面白いもので、各社によって特徴がかなり出てきます。会社HPを見てみるだけでも、会社のイメージを知ることができますし、IR情報から決算情報や株主対応への公開情報も確認することができます。

 優待投資であっても大切なことは投資先の企業を「知る」ということです。株主優待に着目しがちですが、優待投資も株式投資ですから、うまく生かせるためには自分なりにその企業の将来性や安定性など投資目的に合っているかどうかを判断するようにしましょう。

優待投資も株式投資であることが大前提

優待だけでなく株式投資を楽しもう!!

 優待投資というと株主優待に注目されがちで、優待を楽しもうという雰囲気がありますが、ぜひ株式投資そのものに興味をもって楽しんでいただけたらいいなと思います。興味をもつことでその企業を知ることにつながり、自然と企業研究になっていきます。

 株式投資してみようという人に私が最初に進めるのは自分が働いている業界や生活に関わっている企業への投資から始めてみることです。はやりのテーマや世間的に知名度の高い企業への投資もいいですが、「なんとなく」での投資は投資経験や判断力を鍛えるといった次への投資につながらず、よくありません。

 投資のやり方は人それぞれですし、どのくらい時間や労力をかけるかも千差万別です。ただ楽しくない投資を続けることは大変なので、ぜひ自分なりの株式投資を楽しむきっかけに株主優待も利用してみてください。

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