2023年は大幅減益も予想上振れ、鉱山拡張効果で今後2年の利益急成長へ

現地コード 銘柄名
01208

五鉱資源

(エムエムジー)

株価 情報種類

2.20HKD
(3/6現在)

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 中国政府系の非鉄鉱山会社、五鉱資源の2023年12月本決算の純利益は前年比95%減の900万米ドルにとどまったものの、BOCIの予想(純損失7,100万米ドル)を大きく上回った。BOCIは鉱山拡張プロジェクト2件の始動を背景に、向こう2年間、同社が爆発的な利益成長(2023年の900万米ドルから2025年には4億3,800万米ドルへ)を遂げるとの見方。仮にボツワナのコエマカウ(Khoemacau)鉱山の買収が実現すれば、さらなる上乗せが期待できるとした。2024-25年の利益見通しを増額修正したのに伴い、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年通期のEBIT(利払・税引前利益)は前年比29%減の5億3,200万米ドルだったが、それでもBOCIの予想を20%上回った。ラスバンバス鉱山(ペルー)、豪のデュガルド川、ローズベリー鉱山の採算性が予想以上の高水準に達したため。想定外だった7,100万米ドルの繰延税効果も、2023年の利益底上げに寄与した。

 今後は鉱山の拡張事業2件の貢献が急成長を支えるとみられ、2025年の純利益は2023年の約48倍の4億3,800万米ドルに急増する見込み。ラスバンバス鉱山ではチャルコバンバ坑の開発が進行中だが、かつて抗議活動が起きた地元コミュニティーとの話し合いにも合意。鉱山の操業拡大が地元の利益になるとの理解を得た。この鉱山の生産量は2024年の約30万トンから、2025年には38万トンに増加する見込み。基本的な操業費用であるC1コスト(正味直接キャッシュコスト)は、2025年から下降に転じる見通しとなった。

 一方、コンゴ民主共和国のキンセビア銅鉱山の拡張プロジェクトでは、すでにコバルト生産が始まった。2024年下期には、新鉱区の硫化鉱からの銅生産がスタートする予定となっている。キンセビアの銅年産量はこの時点で8万トンに拡大し、2024年の生産目標のほぼ2倍に達する見込み。生産量の拡大に伴い、単位コストの削減にも期待できる。

 同社はこのほか、年内にコエマカウ鉱山の買収を完了させる可能性が高い。これにより、同社全体の銅年産量は一気に5万-6万5,000トン増える運び。コエマカウではさらに、年産規模を13万5,000-15万5,000トンに拡大させる計画があり、これが実現すれば、同社は世界トップ10に入る銅採掘会社となる。

 BOCIは2024年の予想純損益を1,900万米ドルの赤字から、7,500万米ドルの黒字に上方修正。2025年に関しても、ラスバンバス鉱山のコストダウンや実勢金属価格の上振れを理由に、予想純利益を2億1,700万米ドルから4億3,800万米ドルに引き上げた。ラスバンバスにおける2025-26年の設備投資の増額を一部反映させた上で、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き上げ、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては金属価格の急落や、鉱山の操業・物流面で何らかの障害が生じる可能性を挙げている。