春闘の賃上げ率4%は日銀の背中を押す

 改めて、定昇分を含む賃上げ率、ベアと消費者物価上昇率との関係を見たものが図表4です。図には参考までに毎月勤労統計の所定内給与も掲載しています。これを見ると、明らかに賃上げ率よりもベアの方が消費者物価の前年比を考える上で重要であることが分かります。

<図表4 ベアと消費者物価上昇率>

(注)消費者物価は消費税調整済み。2024年は筆者の見通し。 (出所)総務省、厚生労働省、中央労働委員会、楽天証券経済研究所作成

 今後、消費者物価の前年比が安定的に2%程度で推移していくためには、賃上げ率が4%超、ベアが2%超で定着することが必要であることを、図表4は示唆しているようにみえます。そうなるかどうかを確認するには、今後数年単位で点検していく必要がありますが、少なくともそのスタートラインには立っているように思います。

 3月15日の第1回回答集計結果の賃上げ率が4%に乗れば、印象としてかなり強いというイメージを市場に与えるだけでなく、ベアが2%を超えたことを示唆しており、マイナス金利政策解除を模索する日銀の背中を押すことになる、つまり、3月18~19日に開催される金融政策決定会合で決断する可能性が高いとみています。