フォワードガイダンスについて

 フォワードガイダンスに関しては、記者会見で以下のように発言しています。

2年近くになりますが、2%を超えて推移しているということは事実ですから、そのことはですね、もともとオーバーシューティング・コミットメントで想定していたというのも変ですけれども、下から上がってくるのとは違う角度で上がってきているので、そのことがですね、この議論に影響するということは、それは当たり前の事実としてはあるんだろうと思いますが、当然のことながら、見通せるようになるというのが第一であって、見通せるようになるということを判断したときに、そこも一緒に判断していくということになります。

(出所)日本銀行、楽天証券経済研究所作成

 少し日本語として分かりづらいですが、すでに形骸化している現在のフォワードガイダンスに、「マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する」というのがあります。

 この中の「超えるまで」という言葉は、現在の消費者物価の伸び率がすでに2%より高いことからすれば当然修正されるべきで、その点を言っているのだと思われますが、重要な点は、それも含め、マイナス金利政策が解除される際にはフォワードガイダンスも修正されることが明確になったという点です。

マイナス金利解除後の政策金利のパスについて

 マイナス金利解除後の政策金利のパスについては、以下のとおり、重要な発言がありました。

今後の経済・物価情勢次第ということになりますが、先ほどご説明した見通しを前提にすれば、仮にマイナス金利を解除しても、その後にどんどん利上げをしていくようなパスは考えにくく、緩和的な金融環境を維持していくことになると思います。

(出所)日本銀行、楽天証券経済研究所作成

 これも我々にとっては想定通りの内容ですが、市場はこのくだりに最も強く反応しました。特に、海外では、物価目標2%実現を前提にするのだから、当然2%以上の金利水準に向けて追加利上げを行うだろうとみる投資家が多く、講演のあった8日も、為替はロンドン時間になって特に大きく反応しています。