通信キャリアのクラウド投資戦略が追い風、最大手の座さらに強化へ

現地コード 銘柄名
00552

中国通信服務

(チャイナ・コムサービス)

株価 情報種類

3.26HKD
(1/31現在)

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 BOCIは中国電信集団傘下の通信支援サービス会社である中国通信服務について、2023-25年の予想売上高を2.4-6.4%、予想純利益を1.5-4.3%にそれぞれ減額修正した。主要顧客である通信キャリア各社が、「従来型の通信ネットワーク」から「クラウド中心のインフラ」に投資先をシフトするのに伴い、2024年の設備投資予算を全体で5%削減するとの見通しが背景。ただ、同社は通信キャリアのクラウドネットワークの一次請負業者でもあり、こうした変化は通信インフラサービス(TIS)分野における最大手としての地位を一段と強化する可能性が高い。さらに、通信キャリアの中央クラウドインフラへのアクセスを必要とする非通信会社のクラウドサービス市場(インターネットプラットフォームやクラウドアプリケーション)でも、同社の存在感が増す見込み。BOCIは目標株価を引き上げ、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 有力通信キャリアであるチャイナ・モバイル(00941)、チャイナ・テレコム(00728)、チャイナ・ユニコム(00762)による設備投資の減額は、中国通信服務の通信インフラサービス収入に影響する見通し。ただ、BOCIはこのうちチャイナ・テレコムとチャイナ・ユニコムが2024年に、クラウド向け設備投資を20-21%積み増すと予想。通信業界全体で、クラウド関連の設備投資が前年比16%増の1,135億元に達する見通しを示した。逆に、従来型の通信システム(主に5G)向けの設備投資は全体で12%縮小するとみている。

 通信キャリア向けのクラウドインフラの設計およびエンジニアリングサービスの主要プロバイダーである同社にとって、AIDC(AIデータセンター)や計算能力ネットワークなど、クラウド主体のインフラに投資先をシフトするキャリア各社の動きはプラス。AI/クラウドインフラの標準化を通じ、通信キャリアだけでなく、インターネット企業などの非通信事業者が展開するクラウドネットワークにおいても、同社はこの先、市場シェアを拡大する可能性が高い。

 BOCIは目標株価の算出基準を2023年から2024年の予想ベースにシフトするとともに、目標PER(株価収益率)を8.1倍から8.2倍に上方修正。さらに2023-25年の収益見通しの修正を反映させる形で、目標株価を引き上げ、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。予想売上高、予想純利益を減額修正しながらも、クラウド中心のネットワーク環境の拡充により、同社の独占的な競争優位がさらに高まると予想。非通信会社のIDC(インターネットデータセンター)、AIDCといったサードパーティービジネスへの参入にもつながるとした。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、中国マクロ経済の鈍化により、企業や政府機関のIT支出が減速する可能性を挙げている。