今日の為替ウォーキング

今日の一言

「神が何であるか」を言い表すことはできないが、「神が何でないか」は明確にできる

Isn't She Lovely

 現在の米国の雇用市場は、今や完全に家計の支出に頼りきっている。米国の消費者の多くは、生活費とは別に、外食費、交際費やレジャー費などの、いわゆる変動費の支出を維持するために多額のカードローンをしている。2022年の米国のクレジットカード残高は、1年間で1,750億ドル増加した。コロナ前には、同じ増加を達成するのに2016年から2019年まで4年間かかっていた。

 この急拡大を可能にしたのが、コロナ禍緊急対策として実施されたFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げを含む大規模緩和政策である。そのつけとして米国は深刻なインフレに悩まされることになった。FRBは、消費行動を鈍化させさらには逆転させるために、今度は大幅な利上げをしなければならなかった。しかし、これからはFRBだけではなく、銀行の信用引締めも考慮に入れる必要がある。

 H&L(ホスピタリティ・レジャー)部門の雇用増加は、米国の雇用全体の1割にすぎないが、毎月のNFP(非農業部門雇用者数)の3割から4割を占める。金融機関によるクレジットローン審査の厳格化は、米国人の外食や旅行を減らすことになり、H&L部門の雇用ペースを鈍化させる。その結果、雇用統計のNFPを大幅に減少させると考えられる。

 雇用は「派生需要」である。つまり、モノやサービスの需要が最初にあって、それに伴い雇用の需要が発生するのだ。製品需要の期待値と雇用可能な労働者の期待値のどちらかが逆回転を始めたら、雇用市場は一気に悪化することになるだろう。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成