テンバガーの見極めは四季報でもできる
老後資金の準備だけではなく、資産をもっと増やしたい場合や十分に余裕資金がある場合は新NISAの成長投資枠を使って、株価が将来10倍に跳ね上がるような「テンバガー」銘柄を狙う戦略も有効だと瀧澤氏は述べます。「成長投資枠はなるべく値下がりせず、株価が大きく上がってくれるような銘柄に投資をした場合に効果が最大になる」と主張します。
ただ言うは易く行うは難しいのが投資銘柄の見極めです。瀧澤氏は「当然、テンバガー銘柄を見つけるのは容易ではないが、その可能性のある候補を見つけるのは、意外と初心者でも四季報で書いてある情報のみで、おおむね目星を付けられる」と話します。瀧澤氏の考えでは、テンバガーは「中小型成長株」か「業績回復株」のいずれかから生まれてくるとのことです。
瀧澤氏はそうした銘柄を見極める上で具体的に五つのポイントを挙げています。
- 直近の業績で売上高か営業利益が20%成長しているかどうか。
- 売上高に対する営業利益率が20%を超えているかどうか。
- 予想配当利回りは市場平均を上回っているか。
- 来期の売上高と営業利益が尻上がりかどうか
- PEGレシオ(PER(株価収益率)を1株当たり予想利益成長率で割ったもの)などの株価指標が市場平均より割安かどうか。
これら五つの点について、瀧澤氏は株価のチャート分析より業績が将来成長するかどうかという観点が重要であり、「株価は会社が成長すればついてくるものだと意識しないといけない」と強調します。
また、3カ月ごとにポートフォリオをリセットする「3カ月サイクル法」という投資手法も提案しています。具体的には『会社四季報』が発行される3月、6月、9月、12月の中旬にポートフォリオを組み直します。
新刊の四季報からの情報や、その時々の社会情勢や市場環境を見ながら、いったん頭を完全に白紙に戻し、一からポートフォリオを組み直すイメージです。その結果、前回と同じ銘柄を選択することもありますが、経験則からはおおむね8割程度の銘柄は入れ替わる傾向にあるといいます。
こうすることで、無駄に損失を抱えた銘柄を「塩漬け」してしまうことも避けられるなど、特に初中級の個人投資家にとって判断に迷わないという大きなメリットがあります。銘柄数はしっかりと分散効果を得つつ、シンプルに管理しやすいように20~25銘柄前後をめどとしています。