2023年下期は当局の反腐敗キャンペーンで苦戦か、2024年に利益成長加速へ

現地コード 銘柄名
02096

先声薬業集団

(シムシア・ファーマ・グループ)

株価 情報種類

6.43HKD
(1/11現在)

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 中国の製薬会社、先声薬業集団の2023年下期決算は、政府当局の反腐敗キャンペーン(主に製薬会社による贈賄取り締まり)による主力製品への打撃で、苦戦する見込み。BOCIは2023年通期の売上高と調整後純利益について、前年比6%増、3%増を見込む。続く2024年に関しては、反腐敗キャンペーンの影響が和らぐ中、粗利益率の改善と営業費用の最適化を背景に利益成長率が加速すると予想。目標株価を引き下げながらも、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年8月に始まった中国当局の反腐敗キャンペーンで、製薬業界の営業・マーケティング活動は事実上ストップし、適応症以外の医薬品の使用も萎縮。一時的ではあっても、これが製薬セクターを直撃した(学会や営業活動は9月以降、段階的に再開)。同社の場合、反腐敗キャンペーンにより、主力の神経系薬「先必新(Sanbexin)」、抗がん剤「恩維達(Enweida)」などの処方薬が低調。BOCIはその結果、2023年下期の売上高が前年同期比8%減(上期比では1%減)の33億4,000万元にとどまったとみる。2023年通期では67億2,000万元と、市場コンセンサス予想から9%下振れるとの見方だ。また、粗利益率に関しては、「先必新」の貢献度の縮小と「先諾欣」の粗利益率の低下を理由に、下期に76%(前年同期比2.7ポイント低下)を見込む。反腐敗キャンペーンの影響で、下期の売上高販売費率は32%になると予想。下期の調整後純利益見通しを3億7,500万元に引き下げた。通期の調整後純利益に関する予想は6億9,700万元となる。

 一方、2024年通期に関しては、売上高が前年比19%増加すると予想。「先必新」の同20%の増収や「恩維達」の堅調などがけん引する見通しを示した。うち「先必新」に関しては2023年の薬価引き下げによる影響を消化し、2024年には再び急成長局面を迎えるとみる。2024年の純利益に関しては、抗がん剤「科賽拉(Cosela)」の現地生産化や「先必新」の売れ行き回復、「先諾欣」のスケールメリットの拡大に伴う粗利益率の改善と売上高営業費用率の最適化により、前年比40%増を見込む。

 BOCIは2023年の売上高の減速を見込み、2023-25年の予想売上高を6%、6%、5%下方修正した。コア純利益に関する予想も24%、23%、22%減額。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づき、目標株価を引き下げた。同社の現在株価は2024年予想PER(株価収益率)16倍であり、BOCIは魅力的な水準にあるとの見方。2024年には潜在的なライセンスアウト(特許権や独占販売権の他社への供与)の可能性が一段の支援材料になるとみている。

 レーティング面での潜在リスク要因としては、主力製品の予想以上の薬価引き下げの可能性や、製品開発面の不透明性、商品化の遅れ、市場競争の激化などの可能性を挙げている。