年明けの米国株軟調は季節性に沿った動き

 米国市場では、多くの機関投資家が運用指標とする「S&P500種指数」が昨年末まで9週連続高した反動で、年明けはいったん反落してもみ合う動きとなりました。図表1は、過去30年(1994年~2023年)におけるS&P500の年間推移を平均化したものです。

 昨年みられた年末高は季節性(アノマリー)に沿った動きで、年初は利益確定売りが先行しやすい傾向が分かります。ただ、3月以降は確定申告を受けた税還付金の資金流入効果で再び株高傾向をたどりやすかった市場実績も検証できます。

 今年に入っては、FRB(米連邦準備制度理事会)が3日に公表した12月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨で金融引き締めの早期縮小に関して慎重な意見が目立ったことが明らかにされ、5日に発表された12月・雇用統計が労働市場の底堅さを示したことで、長期金利(10年国債利回り)が12月下旬の3.8%台から4.0%台に上昇。

 年末高でやや過熱感がみられた株式市場は割高感も嫌気され、年明けは総じて上値の重いスタートとなりました。

 一方、ダラス連邦準備銀行のローガン総裁は6日の講演でQT(量的引き締め)のペースを緩める必要性を示唆。ニューヨーク連邦準備銀行が8日に公表した12月の「1年後予想インフレ率」が+3.01%と(11月の+3.36%から)低下して長期金利上昇が一服する中、AI向け半導体最大手のエヌビディアの株価は連日で上場来高値を更新しました。

 市場心理改善を受け主要株価指数は反発し、S&P500は昨年末比の騰落率で+0.3%とプラスに浮上しています(10日時点)。

<図表1>過去30年における米国株式の季節性を振り返る

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1994年から2023年までの平均推移)