今年の相場シナリオはどうなる?年始からドル円相場は乱調子

 年明け早々に惨事が相次ぎましたが、今年は為替相場も日米金融環境が変わることが予想されるため荒れるかもしれません。そのことを象徴するようにドル/円は正月明けから上下に激しく動きました。

 1ドル=141円台前半で始まったドル/円は、能登半島地震を受けて、日本銀行は復興支援のためにも緩和を続ける必要があるとの見方から1月の金融政策決定会合での政策修正期待が後退し、じりじりと円安に進みました。ドル/円は5日の米雇用統計発表前に米長期金利の上昇とともに1ドル=144円台の円安となりました。

 米12月雇用統計のNFP(非農業部門雇用者数)は前月比21.6万人増、失業率も3.7%とどちらも予想を上回った好結果を受けて、米10年債利回りは一時4.1%に上昇し、ドル/円も1ドル=146円手前までの円安となりました。しかし、その後発表された12月ISM非製造業景況指数が50.6と前月の52.7から低下し、予想も下回り、2023年5月以来の低水準となりました。

 指数の構成要素である雇用指数も43.3と前月の50.7から大きく低下し、3年5カ月ぶりの低水準となったことから、金利もドルも急低下し、ドル/円は1ドル=143.80円近辺まで円高になりました。その後1ドル=144円台後半までドルは買い戻されていますが、頭の重たい展開が続いています。

 このように新年明けのドル円は上下に激しい動きとなっていますが、そもそも日銀は春の賃上げを見極めるまでは動かないとの見方もあったことから、能登半島地震後の円安は年末の米長期債買われ過ぎ(金利低下)、ドル売られ過ぎの反動もあったかもしれません。

 毎年、このコラムでは年初めに1年間の重要イベントの日程を取り上げています。1年間の相場シナリオを予測するためには押さえておきたい必須項目です。

 1年間とは1月から12月のサイクルです。為替市場の主戦場は欧米市場であるため、3月、6月、9月、12月の四半期決算に加え、12月の本決算が多い欧米の企業や海外ファンドと同じサイクルで考える必要があります。

 ただし、ドル/円の場合は、日本の企業決算の時期も考慮する必要があります。特に3月決算が多いため、年度末の3月や年度初めの4月には決算に関わる為替の需給要因が加わることに留意しておく必要があります。特に期末日の公示タイム(午前10時前後)には予想外の動きをすることもあるため注意が必要です。

 為替の変動要因を大別すると、政治要因と経済要因があります。

 政治要因のイベントとして選挙や国際会議があります。経済要因のイベントで重視するのが、為替相場に中長期的に影響を与える中央銀行の金融政策で、特に米国の金融政策です。そしてその金融政策を左右する経済成長率(GDP[国内総生産])や CPI(消費者物価指数)、米雇用統計の経済指標も重視されます。

 今年は、日米の金融政策が転換する可能性が高いため、相場が上下に大きく変動することが予想されることから注意する必要があります。

 相場シナリオを考えていく際には、これら政治・経済イベントの日程を押さえながらそのリスク度合いや影響度合いを考慮して相場シナリオを組み立てていく必要があります。