ハイスペックのEV第1号「SU7」を発表、2024年の台風の目に

現地コード 銘柄名
01810

小米集団

(シャオミ)

株価 情報種類

15.08HKD
(1/5現在)

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 中国のスマートフォン大手、小米集団は2023年12月28日、第1号となるEV(電気自動車)「SU7」を発表した。BOCIは製品や研究開発、製造、販売、マーケティングなど各方面のアドバンテージを理由に、同社のEV事業を楽観。現時点では価格が未定であるものの、現在の厳しい競争環境や自社のアドバンテージを受け、対スペック比で最良の価格を提示するとみて、初のEVの出足好調を見込む。また、同社の利益モデルに新規のEV事業を組み込み、評価方式をPER(株価収益率)からSOTP(サムオブザパーツ)に変更。目標株価を小幅に引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社はEVセダン「SU7」に、自前のEVモーター、バッテリー、ダイキャスト、パイロット自律走行システム、スマートキャビンという5つのコアテクノロジーを導入する。BOCIはうち、「SU7」のハードウエアの仕様について、同クラスのEVではトップクラスと評価。スマートフォン事業を開始した当初から、同社は強力なシステムインテグレーターであり、研究開発を通じて既存のサプライチェーンの潜在力を存分に活用してきたと指摘した。早ければ2024年1-3月期中に発表される見込みの価格については「19万元から。中心は22万元」と予想。この先、「SU7」が仕様書通りの優れた性能を実証し、対スペックで最高のコスパを実現できれば、確実に2024年の最ヒットモデルの一つになるとしている。

 新規のEV事業にとっては、研究開発・製造を資金面で支援できる同社の強固な財務体質も強み。中国当局が新たなEV製造認可を抑制している事情から、車体の製造は北京汽車(01958)に委託。小米集団としては信頼性とコスト競争力の高いコンポーネントの調達や販売・マーケティングといった得意分野に注力することが可能であり、中国のEVサプライチェーンの拡大局面において恩恵を受ける見通しという。

 さらに、既存の研究開発力や小売チャネル、マーケティング資源を活用することで、同業他社よりはるかに早期に、損益分岐点(粗利益率ベース)に到達する見込み。通常、販売費用はEVメーカーの経費全体の10%強を占めるが、同社の場合は既存ビジネスとの高いシナジー効果により、この比率を低く抑えることが可能とみられる。

 BOCIは予想PER(33倍)からSOTPに株価の評価方式を変更。スマホ、IoT家電、ネットサービスという従来ビジネスを2024年予想PER16倍、新規のEVビジネスを2025年予想PSR(株価売上高倍率)4倍で評価。目標株価を小幅に引き下げた。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、有力テック企業ファーウェイを含む国内EV勢との競争激化の可能性や、地政学的な紛争リスク、インド政府との課税絡みの対立、EV開発の予想外の遅れなどの可能性を挙げている。