今まで以上に「材料の分散注目」が必要
米国の金融政策を含め、2024年は複数の注目材料があります。
図:2024年の注目材料(一例)
民主主義の正当性が保たれるかどうかが問われる主要国のリーダーを決める選挙、長期化する懸念が強まる各種戦争、足並みが乱れつつも原油価格を高止まりさせるために行われているOPEC(石油輸出国機構)プラスの減産、欧米以外の主要国で沈静化が進むか注目が集まる物価高、平和の祭典の呼び名のとおり世界平和につながることが期待されるオリンピック・パラリンピック、などです。
米国の金融政策をきっかけにリスクオンが強まったとしても、戦況が悪化して懸念事項が増えたり、原油高やそれをきっかけとした物価高が再燃したりすると、リスクオフ(リスクを回避して運用を控える)ムードが強まって、各種価格が下落する可能性が生じます。
米国の金融政策をメインの材料としつつも、こうしたほかの材料にも注意を向ける必要があるのが、2024年だと言えます。
近年は多くの市場で複数の材料が多彩に入り混じる傾向が目立っています。2024年も例外ではありません。むしろ多彩であることがより目立つ可能性すらあります。
投資対象を同じ種類にならないようにする「分散投資」を参考にすれば、注目する材料を分散する「材料の分散注目」が強く求められるでしょう。分散せずに偏った材料に注目してしまうと、相場の方向性を見誤りやすくなります。
金(ゴールド)では、短中期であれば有事ムード(資金の逃避先)、代替資産(株の代わり)、代替通貨(ドルの代わり)の三つ、中長期であれば中国・インドなどの宝飾需要、鉱山会社の動向、中央銀行の動向の三つ、超長期であれば見えないリスク(肌で感じにくい西側・非西側の分断)などに注目する必要があります。
原油では、短中期であれば産油国の動向(OPECプラスだけでなく米国も)、需要動向(見通し含む 先進国・新興国共に)、中長期であれば気候変動、省エネ技術などの動向に注目する必要があります。
個人投資家の皆さまを含めた市場関係者は、見たい材料、聞きたい材料、信じたい材料、感じたい材料だけに注目していてはいけません。気に留めやすい限られた材料だけに注目することがないよう、今まで以上に注意が必要です。