何よりも大切なのはライフプラン
万が一の時にいかに収入を確保できるか、支出をおさえられるか、というお話をしましたが、何よりも大切なのはライフプランです。
いくら住居費をおさえるためとはいえ、すでに住み慣れた場所ということであれば、今さら実家に引っ越したくはないという方もいらっしゃるでしょう。
大切なのは、万が一の時に、現実的に移ることができる生活スタイル、ライフプランがどのようなものかを考えておくことです。
かといって、万が一の時には、一生、豪勢な生活をしてもまったく困らないくらいの保険金がほしい、ということになると、その分生命保険料が高くなり、日々の生活が苦しくなりますので、その妥協点を見つけることが何よりも重要です。
このような万が一の時のライフプランを想像しながら、具体的な金額を決めていき、万が一の時のライフプラン・シミュレーションを行っていくことになります。
以下は文字が小さくて見づらいかと思いますが、こんな雰囲気というのをご理解いただければと思います。
死亡保険の必要保障額推移表
ここまで具体的に数字を決めていくと、死亡保険の必要保障額を計算することができます。
例えば、以下のような形になります。
このグラフの見方ですが、現時点(グラフの左端)であれば、死亡保険に3,191万円入るのが妥当、ということになります。
しかし、例えば、2年後、4年後では、それぞれ2,837万円、2,440万円が妥当な金額ということになります。
つまり、死亡保険の必要保障額というのは、一般的には時間の経過とともに、かなり変動することになります。
これはなぜでしょうか?
(少し考えてみてください)
現時点(グラフの左端)では、3,191万円必要ということでしたが、2年後では2,837万円まで、354万円ほど下がっています。1年あたりだと、177万円ということになります。
これは、1年経過すると、その1年分の生活費はすべて支払い終わっていますし、その間の収入により、資産形成が少しでもできていれば、その分、蓄えが増えていることになります。
そうすると、1年後、2年後と、将来の時点では、死亡保険の必要な金額は少しずつ少なくてよくなるというわけです。
よく「生命保険はライフイベントごとに見直しましょう」などと言われますが、このように考えると、実は毎年見直していくことが必要なのではないかという印象があります。
「10年の定期保険で3,000万円」みたいな形で入ると、途中から入りすぎていることになってしまう可能性が高くなります。
そういう意味では、「万が一の際には、その後、毎月20万円を受け取ることができる」といった収入保障保険の方が適切な形になることが多いのではないかと思います。
もちろん、この死亡保険の必要保障額の推移は、各ご家庭のライフプランによって異なりますので、どんなご家庭であっても、このように単調に下がっていくというわけではありません。
しかし、いずれにしても適宜見直していくことが大切になってきます。
つまり、ある一時点で必要だと思って加入した死亡保険が、数年たっただけで妥当な必要金額からずれてしまっている可能性があるということです。
まとめ
このように、ライフプラン・シミュレーションを一度きちんと行うと、その延長として死亡保険の必要保障額を計算することが可能になります。
逆に言えば、ライフプラン・シミュレーションのような形で将来の収入や支出を考慮せずに、
「まわりの人がだいたい3,000万円くらい入ってるみたいだから、うちもそのくらいかな」
といった形で保険金額を決めてしまうと、万が一の時に、まったく足りなかったり、必要以上に受け取ったり、といったことになってしまう可能性があります。
そして、万が一の時のライフプランは、現在の生活をそのままで考えるのではなく、新しい状況での現実的な生活スタイル、ライフプランを考慮することが大切になってきます。
ということで、生命保険は適切な分だけ上手に利用していきましょう。
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ファイナンシャルプランナー。株式会社ウェルスペント 横田健一さん Twitter @ken1yokota でも情報発信中! |