24年も史上最高値更新が起きると予想

 ここまでの内容をもとに、2024年の金(ゴールド)市場の全体像をイメージします。2023年にドル建て金(ゴールド)相場を高止まりさせ、2024年の価格上昇を実現し得る「有事ムード」「代替資産」「代替通貨」は、いずれも短中期のテーマです。FRBの方針転換により、「代替通貨」起因の圧力が下落から上昇に変化する可能性があります。

図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年 筆者イメージ)

出所:筆者作成

 2024年は、中長期のテーマである「中央銀行」の影響(長期視点の上昇圧力 不安や脱米ドルなどを意識した、新興国の中央銀行を中心とした買い)が続いたり、同「鉱山会社」の影響(長期視点の下落圧力 高値に達したことをきっかけとした増産や売りヘッジ)が出たりする可能性があると、見ています。

 こうした「多彩な」テーマの影響を受けながら、2024年のドル建て金(ゴールド)相場は、1,700ドルから2,300ドルの範囲で推移すると予想します。2023年の年間平均はおよそ1,937ドルです(12月15日時点)。2024年はこの水準よりも高くなる時間帯が長くなると考えています。

 米大統領選(2024年11月)に向けて、前回(2020年)と異なり候補者が建設的な論戦が繰り広げた場合、施策に対する期待が膨らみ、景気回復期待(あくまでも期待)が増幅して株高が起きる可能性があります。こうした動きが目立てば、金(ゴールド)市場に「代替資産」起因の下落圧力がかかります。

図:2024年のドル建て金(ゴールド)価格見通し(筆者イメージ) 単位:ドル/トロイオンス

出所:LBMAのデータをもとに筆者作成

 とはいえ、FRBの方針転換(利上げ→利下げ)の影響度は高く、(大統領選だけでなく)さまざまな文脈で代替資産起因の下落圧力が発生したとしても、FRBの方針転換がもたらす代替通貨起因の上昇圧力がそれを相殺し(有事ムードも加勢し得る)、金(ゴールド)相場は高止まり、あるいは株高の中でも上昇する可能性があります。

 このようなシナリオを描くことができるのは、単一のテーマだけで金(ゴールド)相場を注視しない考え方に立っているためです。単一のテーマだけで2024年のシナリオを立てようとすれば、利下げ→景気回復期待増幅→株高→金(ゴールド)安という短絡的なシナリオしか描けないでしょう。

 2024年の金(ゴールド)相場が「株と金(ゴールド)は逆相関の関係でなければならない」という考え方が現代の金(ゴールド)相場分析になじまないことを、改めて証明してくれるかもしれません。2024年の金(ゴールド)相場の動向に、要注目です。

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

長期:

純金積立(当社ではクレジットカード決済で購入可能)
純金積立・スポット購入
投資信託(当社ではクレジットカード決済、楽天ポイントで購入可能)
ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
三菱UFJ 純金ファンド

中期:

関連ETF
SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)

短期:

商品先物
国内商品先物
海外商品先物
CFD
金(ゴールド)、プラチナ、銀、パラジウム