2023年の収益見通しを大幅下方修正、バイオ分野の資金調達難や承認遅れが痛手

現地コード 銘柄名
02269

薬明生物技術

(ウーシー・バイオロジクス)

株価 情報種類

33.15HKD
(12/4現在)

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 バイオ医薬品の開発受託会社、薬明生物技術は12月4日のカンファレンスコールで、自社業務に関する情報をアップデート。この場で、2023年の売り上げ見通しを「前年比30%増」から「同10%増」に引き下げ、うち新型コロナ以外の業務の売上高については「60%増」から「36%増」に下方修正した。開発プロジェクト数の落ち込みや製造プロジェクト3件の承認の遅れによる収益計上時期の先送りが理由。同時に、粗利益率見通しも40%に引き下げ、調整後純利益が1桁台の幅で落ち込むとの予測を示した。バイオテック分野の資金調達ペースの鈍化で、2024年まで厳しい事業環境が続く見通しという。BOCIはこうした点を踏まえ、売上高と純利益に関する予想を大幅に減額修正。2023-24年の予想売上高を前年比10%増、17%増、予想純利益(調整後)を2%減、16%増に設定した。これに伴い目標株価を引き下げながらも、同社の現在株価の2024年予想PER(株価収益率)が25倍、同予想PEGレシオ(PER÷1株当たり利益成長率)が1.09倍にとどまる点を指摘。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 バイオテック業界の成長率は今後2年間、1桁台にとどまる見込み。その影響で同社は新型コロナ関連を除く2023年の売り上げ見通しを前年比60%増から36%増に引き下げた。これは業界全体の約2倍に当たる増収率。ただ、新型コロナ業務に起因する前年実績の高さから、売上高全体では前年比10%増の見通しという(6月に示した30%増からの下方修正)。開発プロジェクトの縮小による3億米ドル分の収入減に加え、規制当局の承認遅延によるメガ製造プロジェクト3件の計1億米ドル規模の収入減を理由としている。

 一方、会社側によれば、2023年の調整後利益は前年比で1桁台の減少となる見込みだが、これは売上高の低迷と新規業務能力の立ち上げが背景。世界的な拠点の構築による影響で、粗利益が1億米ドルほど縮小する見通しとなった。経営陣は通期の予想粗利益率を40%に引き下げたが、今後は毎年1.5ポイントの改善を目指すとしている。

 年初から11月末までに、同社が獲得した新規プロジェクトは91件(6月末時点で35件、9月末時点では61件)。北米が全体の55%を占め、中国のシェアも20%に回復した。開発・製造部門の受注残は11月末に30億米ドル規模。これに研究部門の受注残とマイルストーン(進捗(しんちょく)状況に応じた支払金)を含めると計50億米ドルとなる。

 BOCIは業績予想を大幅に下方修正し、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き下げた。経営陣による業績見通しの下方修正を受け、株価は24%下落したが、BOCIは下方修正分がそのまま株価に反映されたとの見方。また、同社株のバリュエーションは同業銘柄に比べて依然割安だとし、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、バイオテックの資金調達環境の後退や競争激化、海外生産能力の増強の遅れ、地政学リスクを挙げている。