「マーさんのキッチン」:中国で食品会社を設立

 本連載では、習近平(シー・ジンピン)政権下における中国経済、中国市場、中国企業の動向をモニタリングするという観点から、中国の起業家の象徴的存在であるジャック・マー(馬雲)氏、および彼が創業したアリババグループの盛衰に焦点を当て、適宜扱ってきました。

 前回取り上げたのが約半年前で、「アリババ創業者ジャック・マー氏、『香港大と東大の教授就任』が意味すること」と題してマー氏の現状を検証しました。今回のレポートでも彼の最新動向、およびアリババグループとの関係などをアップデートしたいと思います。

 今回紹介する最新動向というのは、マー氏が新たに食品会社を立ち上げたという話です。

 中国の国家企業信用情報公開システムによれば、11月22日、「杭州馬家廚房食品有限公司」が設立されました。資本金は1,000万元(約2億円)、法定代表者名は「PAU JASON JOHN」。業務内容は、食品のパッケージ販売や農作物の卸売、物品の輸出入、日用品の卸売、ホテル管理、技術サービスなどが記載されています。

 マー氏は同社株式の99.9%を実質保有し、監査役にも2014年に設立した「馬雲公益基金会」の幹部を起用しています。何より、同社の名称にマー氏の姓である「馬」が入っている。「馬家廚房」という中国語を邦訳すると、「マーさんのキッチン」という感じ。要するに、ジャック・マー色を相当程度出した新事業を開始した、という理解が可能だと思います。