2023年7-9月期は平均価格の軟化で低調、2024年に2桁増益へ

現地コード 銘柄名
01093

石薬集団

(CSPCファーマスーティカル)

株価 情報種類

7.05HKD
(12/1現在)

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 中国の医薬品メーカー、石薬集団の2023年7-9月期決算は売上高が前年同期比1.0%減、前四半期比3.0%減の78億元となり、BOCIの予想を下回った。ビタミンCとカフェインの平均販売価格の下落が響いた。製薬部門の売上高は64億元。提携事業を除外した場合、前年同期比4.0%増となる。経営陣は当局の反腐敗キャンペーン(主に製薬会社による贈賄取り締まり)の影響で停滞していた販促活動や学会の再開を見込み、この問題による売上高への影響は限定的との見方。2023-24年通期について1桁-2桁台の成長見通しを示した。BOCIは目標株価を引き下げつつ株価の先行きに強気見通しを継続した。

 7-9月期の売上高はBOCIの予想を下回る78億元。うち提携事業を除く製薬部門の売上高は64億元だったが、適応症別に見ると、神経系疾患、がん、感染症、循環器、呼吸器、消化器・代謝系の売上高がそれぞれ前年同期比11%増、12%減、12%増、16%減、98%増、22%増。抗がん剤部門では引き続き、「克艾力(Keaili)」の価格引き下げが響いた。ただ、BOCIは抗がん剤売り上げの前四半期比での復調(6%増収)に目を向けている。一方、平均販売価格の低下圧力が残る中、ビタミンC製品、抗生物質、機能性食品・カフェインの売上高は前四半期比でいずれも減少。全体の粗利益率は製薬事業のウエートの拡大で、前四半期の71.2%から71.4%へ小幅に改善した。販売費の対売上高比率は27.4%と記録的な低水準にとどまったが、これは反腐敗キャンペーンの影響。研究開発費の対売上高比率は17.7%に上昇した。7-9月期の純利益は1.7%増の15億元だった。

 2024年には複数の製品候補群に関する治験データのリードアウトが株価の支援材料となる見込み。さらに、同年中には、中国国内でオマリズマブバイオシミラー、バトクリマブなどが発売される予定。経営陣は「明復樂」(rhTNK-tPA)、ミトキサントロンリポソーム、デュベリシブカプセル(PI3Ki)、イリノテカンリポソーム、RANKL mAbなどの計30億元超の上乗せが、2024年の2桁増収をけん引する見通しを示している。

 BOCIは決算発表後、平均販売価格の下落や反腐敗キャンペーンの影響を反映させる形で、2023-25年の予想売上高を2.6-2.7%下方修正した。半面、各種コスト想定値を調整し、目標株価を引き上げている。

 2024年以降は「明復樂」やミトキサントロンリポソーム、デュベリシブカプセルの国家医療保険償還医薬品リストへの組み入れに伴う販売増を予想。さらにイリノテカンリポソームなど新製品の貢献で、2024年には成長路線に復帰するとみている。加えて、ADC(抗体薬物複合体)製品の初期段階のデータリードアウトが、同社のイノベーションへの市場の期待につながる可能性を指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、新薬の出足が予想ほど伸びない可能性や、研究開発の失敗、主力製品の薬価引き下げの可能性を挙げている。