クイズの正解:約9%値下がりして、91円になる

 正解は、【2】約9%値下がりして、91円になる、です。けっこう大きく値下がりします。満期の10年後に額面100円で償還されるのですが、時価では91円まで値下がりします。

 この10年新発国債の、金利上昇前と金利上昇後の利回りを計算してみましょう(単利で計算)。説明を分かりやすくするために、額面100円の国債を100円で買ったものとして説明します(実際には100円では売買できません)。

<金利上昇前:10年新発国債利回りが1%の時>
 投資額(額面)=100円
 1年間の利息=1円 
 10年目に受け取る償還金(額面金額)=100円
 これを表に書くと、以下の通りです。

 この国債に100円投資して、10年間で110円得られます。つまり、10年間のリターンは合計10円です。額面金額100円で10年間に10円のリターンですから、年利回りは(10円÷10年)÷100円=1%です。

 それでは、ここで突然、長期(10年)金利が突然1%上昇して、2%になったとします。日本国が新規に10年国債を発行しようとすると、額面金額(100円)当たり2円の利息を付けないと、発行できないことになります。

 そうなると、元々あった1年に1円の利息しか付けない、上記国債をそのまま額面(100円)で買う人はいなくなります。この国債は、値下げをしないと売れません。いくらまで値下げしたら売れるでしょうか? その答えが、約91円です。

 91円に値下がりした国債を買った人の年利回りは約2%となります。

<金利上昇後:10年新発国債利回りが2%になった後>
 投資額(額面よりも値下がり)=91円
 1年間の利息=1円 
 10年目に受け取る償還金(額面金額)=100円
 これを表に書くと、以下の通りです。

 この国債に投資すると、投資額91円で、10年間に110円得られます。10年間のリターン合計は110-91=19円です。19円のうち、10円は受け取り利息で、9円は償還差益です。91円で購入した国債が100円で償還されるので9円の償還差益が得られます。

 10年間で19円のリターンがあるので、1年当たりでは1.9円のリターンとなります。

 したがって、年利回り=1.9円÷91円=2.08%(約2%)です。

長期国債は金利が低下すると値上がり

 前段で、固定利付きの10年国債が、市場金利が1%から2%に上昇すると値下がりすることを説明しました。逆にいえば、固定利付きの10年国債は、市場金利が2%から1%に低下すれば値上がりします。

 一般的に以下の傾向があります。

  1. 景気が良い時→金利が上昇→長期国債が値下がり
  2. 景気が悪い時→金利が低下→長期国債が値上がり

長期国債と株に同時投資で分散効果

 株は、これとは逆の動きをすることが多いので、株と長期国債に同時に投資することで分散投資効果が働くことが多いと言えます。

  1. 景気が良い時→株が上昇→金利が上昇→長期国債は値下がり
  2. 景気が悪い時→株が下落→金利が低下→長期国債は値上がり

 上記の関係が成り立つことが多いので、株と長期国債に分散投資することは、長期的な資産形成におけるリスク管理として有効です。

 ただし、上記関係がいつも必ず成り立つわけではありません。不況下の株高や、好況下の株安もあります。株と債券が同時に上昇したり、同時に下がったりすることもあります。それでも、長期の資産形成では、株と債券に分散しておいた方がリスク管理上有効であることには変わりません。 

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