主戦場を米国株に移して成功!理由は「時差」

トウシル:書籍の中で、米国株に主戦場を移してからのくだりは、安心して読めました(笑)。

レイチェル:よかったです(笑)。仕事柄、IT系にはやはり強かったので、VGI VIRTS GBL INC FD(情報セクターのETF(上場投資信託))と、google(現:アルファベット クラスA)に振り分けました。

 そしてコロナショックです。マーケットが大暴落し、今まで買えなかったような大型株も手が出せるようになり、チャンスとばかりに「これから伸びる!」と信じられる銘柄を購入しました。

 予想外にいい結果をもたらしたのが「時差」です。米国市場が開くのは日本時間の23時30分から翌朝の6時まで。普通は寝ている時間なので、しょっちゅう売買できるわけでもなく、投資スタイルが自然と「長期保有」になったのが結果的によかったんです。

レイチェルさんの今のポートフォリオ

アルファベット クラスA(GOOGL) 31%
TECL Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF  18%
アップル(AAPL) 22%
モデルナ(MRNA) 9%
マイクロソフト(MSFT) 9%
テスラ(TSLA) 8%
リビアン・オートモーティブ(RIVN) 2%
ペイパル(PYPL) 1%
ユニティー・ソフトウェア(U) 1%

レイチェル:実は今、大学院で、社会のシステムや課題を、投資先のようなハイテク技術を横断で使って、解決に導く、ということを学ぶ社会学的なラボに所属しています。

 米国株を購入するうちに、こうしたテクノロジーが近未来の課題を解決に導くことができるんだな、できればその手法を業界横断で学びたいな、と思ったのが、研究室を選んだきっかけになっています。投資は私に、何を学ぶべきか、という方向性も教えてくれたんです。

トウシル:投資をして、資産が増えることで、「人生の選択肢が増える」、と書籍に書いてあったのがとても印象的でした。

レイチェル:はい。黒歴史を持つ私が言うのもなんなのですが(笑)、最初は1万円の積み立てからスタートしてもいいんです。特に若い人は、早く始めれば始めるほど、複利効果で資産が膨らんでいきます。

 著書には、月3万円ずつ投資をしたら35年後には3,408万円になる、と試算しました。「35年」と聞いて、「そんなに待てない」と思う方もいると思いますが、銀行口座に預けているだけでは1,260万円にしかなりません。

トウシル:「もう間に合わない」と思う方もいるかもしれませんが、よく言うように、「今日は人生の中で一番若い」、と考えてほしいですよね。

レイチェル:そのとおりです。私が投資を始めるきっかけになった、車を買った友達を見ても分かる通り、投資をしている人としていない人では、これだけの差が開くんだ、と痛感しました。

 投資に興味があるけれど、まだ始めていない、という人は、「いつか自分も始めよう」と思っていると思うんです。そのいつかって、いつでしょう? ぜひ今日にしてほしいです。

投資は情報戦!いかに「削るか」が勝負どころ

トウシル:レイチェルさんの書籍『毎月5分のシン・米国株投資術』は、「米国株を始めたい」という人にとって、本当に必要な情報だけが実にコンパクトにまとまっていて、その情報の「取捨選択力」がとても印象的でした。

レイチェル:画像1枚だけに収まる量の米国の市場情報をまとめた『レイチェルタイムズ』をXで折々配信しています。情報量が多すぎると、振り回されて本当のことが見えなくなってしまうので、本もXと同じように、必要最低限の情報で収まるようにまとめたつもりです。

トウシル:確かに、投資ブームの今、実にさまざまな情報源がある分、何を見ていいか本当に迷いますよね。

レイチェル:はい。書籍の最後でも、定点観測に最適な情報源をいくつか挙げています。あれもこれも読むよりは、「この人」と決めたり、「このチャンネル」と決めたりして、ある程度視線を固定化したほうが、状況の変化や社会の変化も視界に入りやすくなります。

 さらに言うと、実際に人と話すこともとても価値があることです。今はチャットGPTなども登場して、人を介さずに情報を得ることができ、進化した部分もありますが、やはり生きている人と実際に話すこと以上に価値があるとは思えません。私が通っている大学院には、大学を卒業したばかりの人、会社員、起業家、官公庁や企業から派遣されてきている人など、さまざまな人がいて、その方たちから話を聞くということは本当に貴重な財産です。

トウシル:その方の生きざまや背景などを知ることで、自分の人生を考える一助になりますよね。

レイチェル:はい。だから、もし、あなたの身近に「投資をしている人」がいたら、ぜひその人を大切にしてください。すでに投資をしている人にとっては貴重な情報交換になりますし、まだ始めていない人にとっては背中を押してくれる先輩でもあります。ぜひ勇気を出して、一歩を踏み出し、自分の人生をマネジメントできるようになってほしいですね。

トウシル:本日はありがとうございました!

<編集部Yの取材後記>

 ちょっとはにかんだ笑顔が印象的なレイチェルさん。実は編集部Yとほぼ同郷ということもあり、取材後半は方言丸出しでの会話となり、テープ起こしを標準語に直すのにちょっと苦労しました(笑)。

 長い人生の途中で方向転換することに、さほど大きな決断もなかった、とおっしゃっていて、人間は、何度でもやり直し、学びなおしができる「時間」という財産を持っていることに再度気づかされました。

 レイチェルさんの書籍は、お話上手な語り口調そのまま。サクッと読めて、本当に必要なことだけが頭に残る書籍です。米国株を始めたい人だけでなく、投資を始めたい人にぜひ読んでいただきたい一冊です。