今回は、著書『月3万円で3408万円の超安心資産をつくる! 毎月5分のシン・米国株投資術』が人気の著者・レイチェルさんに直撃インタビュー! まだ30代ですが、米国株投資で出た利益を、意外なことに活用していました…。投資で得た資金を「人生への先行投資」にフルで振り向けたレイチェルさんの狙いとは?
レイチェルさんプロフィール
京都府出身。新卒で総合コンサルティングファームで働く。その後、ITメガベンチャー企業に勤務。2023年4月より慶應義塾大学の大学院生に。2021年にツイッターアカウントを開設し、米国株投資を中心に政治・経済からマネー、社会問題など幅広いテーマを独自の切り口で語り人気を博す。Xのフォロワーは約9万人。 月3万円で3408万円の超安心資産をつくる! 毎月5分のシン・米国株投資術/KADOKAWA/2022年10月03日発売/ 1,650円(税込) |
30代で大学院へ。立ち止まる余裕は投資がくれた
トウシル:(名刺交換でいただいた名刺を見て)え? あれ? レイチェルさんって大学院生なんですか!?
レイチェル:はい。実は仕事を辞めて、今、慶應義塾大学の大学院に通っています。
トウシル:ええ~! 今はやりの「学びなおし」を実践されていらっしゃるんですね。
レイチェル:はい。投資や、マーケット情報を配信することを通して、社会のさまざまな課題を解決する技術や企業にとても興味がわいてきて、一度それについてしっかり勉強したいという意欲が募って、現在は仕事を辞めて大学院に通っています。
トウシル:もしかしてその資金は…。
レイチェル:はい。米国投資でつくった資金です。今は仕事もしていないので、生活費も投資でつくったお金で賄っています。預金を取り崩している状態ではあるのですが、卒業までは働かなくても暮らしていけるだけの資産があるので、今は勉強に集中できている状態です。
トウシル:それは素晴らしい! 今は、人生という階段の「踊り場」にいらっしゃるんですね。その金銭的&精神的余裕を、投資でつくることができたんですね。
レイチェル:そうですね。投資をしていなかったら、今の状況は実現できなかったと思います。実は大学院に行く前に実家の母親が体調を崩してしまい、その時点で会社を辞めて1年ほどサポートのために帰省していたんですが、「会社を辞めて実家へ帰ろう」という決断ができたのも、投資で1,700万円ほどの資産が構築できていたおかげです。その後、母の体調も回復して今は元気になり、さあこれからどうしよう…と思ったときに、「もう一度興味がある分野を学びなおしたい」と思って、大学院を選びました。
トウシル:あのぅ…、慶應義塾大学の大学院ってすごく高いと聞いているんですが、生活は大丈夫なんですか?
レイチェル:2年間で400万円もするんですよ! だから実は今、預金を取り崩している状態で、大学院を卒業したら、インプットしたことを活かせるような企業に再就職することも考えています。ただ、米国株式は変わらず投資を続けるつもりです。
トウシル:でもそれも、自分の人生に対する「投資」ですよね。投資をしないで通常の給料だけでは実現できなかったはず。大きな実を実らせられるように応援しています!
レイチェル:ありがとうございます! 自分に誇れるような結果になるように頑張るつもりです。
信用取引とFXで元手が半分に…
トウシル:著書の『毎月5分のシン・米国株投資術』を拝読しました! レイチェルさんが投資を始めたきっかけや、黒歴史についても書いてあったのですが…なかなかの波乱万丈ぶりですね(笑)。
レイチェル:でしょう?(笑)。米国株投資に落ち着くまでは、山あり谷ありで本当にあれは「ギャンブル」でしかなかったと思っています。
トウシル:同期で一番仲が良かった友達が、車をキャッシュ一括で買った、しかもそのお金は「投資」でつくったという話を聞いて、投資に興味を持ち始めたんですよね。
レイチェル:はい。同い年で、給料も自分と変わらないような友達が、そんな大きな買い物をした。しかも投資でお金をつくった、と聞いた時は本当にびっくりしました。ちょうどそのころは、アベノミクス全盛期で、どの株を買っても1.5倍、2倍、なんていう景気のいい話がニュースにもなっていて、私もこの波に乗りたいなと思ったのがきっかけです。
トウシル:その後、すぐに投資を始められたんですか?
レイチェル:いえ、実際に始めたのはチャイナショックのころです。マーケット全体が下落したのを見て、「もしかして今がチャンス?」と思い、手元にある預金や、なんとなく続けていた個人年金を解約して200万円をかき集めて証券口座を開いたのが始まりです。
トウシル:最初はどんな銘柄を買われたんですか?
レイチェル:私は当時、IT企業のエンジニア採用関連の仕事をしていたため、ハイテク企業については知識がありました。その中で、単純に自分が好きだ、信頼できる、という理由でディー・エヌ・エー(2432)、クックパッド(2193) 、ヤフー(現:LINEヤフー/4689)、楽天グループ(4755)、サイバーエージェント(4751)などの銘柄を少しずつたくさん物色して買っていました。ただ、結果的に分散投資になっていただけで、戦略的に考えて分散していたわけじゃないんです。
トウシル:それでも、チャイナショック時でなければ、株価が高くてなかなか買えない銘柄が多いですよね。その後の市場回復でかなり利益が出たのではないですか?
レイチェル:はい。ほとんどの株が含み益を出していました。そこで私は調子に乗って、投資開始後の半年くらいで、ほとんど勉強もせずに信用取引に手を出したんです。
トウシル:…あぁ…。
レイチェル:…はい。結果はお察しのとおりです。私が現物取引から信用取引に切り替えた直後、日経平均株価が暴落してほとんどが含み損。さらに追証(追加保証金)が発生し、強制決済されました。信用取引に手を出す前は、一度は含み益300万円に増えたのですが、結果、手元に残ったのは100万円だけになってしまいました。
トウシル:著書には淡々とそのあたりの冒険的投資が書いてありましたが、生で聞くとゾワゾワしますね…。
レイチェル:なかなかの黒歴史ですよね(笑)。その後、FXに手を出して同じように、利益300万円→暴落で100万円、という山と谷を経験しました。そこでやっと目が覚めたんです。
主戦場を米国株に移して成功!理由は「時差」
トウシル:書籍の中で、米国株に主戦場を移してからのくだりは、安心して読めました(笑)。
レイチェル:よかったです(笑)。仕事柄、IT系にはやはり強かったので、VGI VIRTS GBL INC FD(情報セクターのETF(上場投資信託))と、google(現:アルファベット クラスA)に振り分けました。
そしてコロナショックです。マーケットが大暴落し、今まで買えなかったような大型株も手が出せるようになり、チャンスとばかりに「これから伸びる!」と信じられる銘柄を購入しました。
予想外にいい結果をもたらしたのが「時差」です。米国市場が開くのは日本時間の23時30分から翌朝の6時まで。普通は寝ている時間なので、しょっちゅう売買できるわけでもなく、投資スタイルが自然と「長期保有」になったのが結果的によかったんです。
レイチェルさんの今のポートフォリオ
アルファベット クラスA(GOOGL) | 31% |
TECL Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF | 18% |
アップル(AAPL) | 22% |
モデルナ(MRNA) | 9% |
マイクロソフト(MSFT) | 9% |
テスラ(TSLA) | 8% |
リビアン・オートモーティブ(RIVN) | 2% |
ペイパル(PYPL) | 1% |
ユニティー・ソフトウェア(U) | 1% |
レイチェル:実は今、大学院で、社会のシステムや課題を、投資先のようなハイテク技術を横断で使って、解決に導く、ということを学ぶ社会学的なラボに所属しています。
米国株を購入するうちに、こうしたテクノロジーが近未来の課題を解決に導くことができるんだな、できればその手法を業界横断で学びたいな、と思ったのが、研究室を選んだきっかけになっています。投資は私に、何を学ぶべきか、という方向性も教えてくれたんです。
トウシル:投資をして、資産が増えることで、「人生の選択肢が増える」、と書籍に書いてあったのがとても印象的でした。
レイチェル:はい。黒歴史を持つ私が言うのもなんなのですが(笑)、最初は1万円の積み立てからスタートしてもいいんです。特に若い人は、早く始めれば始めるほど、複利効果で資産が膨らんでいきます。
著書には、月3万円ずつ投資をしたら35年後には3,408万円になる、と試算しました。「35年」と聞いて、「そんなに待てない」と思う方もいると思いますが、銀行口座に預けているだけでは1,260万円にしかなりません。
トウシル:「もう間に合わない」と思う方もいるかもしれませんが、よく言うように、「今日は人生の中で一番若い」、と考えてほしいですよね。
レイチェル:そのとおりです。私が投資を始めるきっかけになった、車を買った友達を見ても分かる通り、投資をしている人としていない人では、これだけの差が開くんだ、と痛感しました。
投資に興味があるけれど、まだ始めていない、という人は、「いつか自分も始めよう」と思っていると思うんです。そのいつかって、いつでしょう? ぜひ今日にしてほしいです。
投資は情報戦!いかに「削るか」が勝負どころ
トウシル:レイチェルさんの書籍『毎月5分のシン・米国株投資術』は、「米国株を始めたい」という人にとって、本当に必要な情報だけが実にコンパクトにまとまっていて、その情報の「取捨選択力」がとても印象的でした。
レイチェル:画像1枚だけに収まる量の米国の市場情報をまとめた『レイチェルタイムズ』をXで折々配信しています。情報量が多すぎると、振り回されて本当のことが見えなくなってしまうので、本もXと同じように、必要最低限の情報で収まるようにまとめたつもりです。
トウシル:確かに、投資ブームの今、実にさまざまな情報源がある分、何を見ていいか本当に迷いますよね。
レイチェル:はい。書籍の最後でも、定点観測に最適な情報源をいくつか挙げています。あれもこれも読むよりは、「この人」と決めたり、「このチャンネル」と決めたりして、ある程度視線を固定化したほうが、状況の変化や社会の変化も視界に入りやすくなります。
さらに言うと、実際に人と話すこともとても価値があることです。今はチャットGPTなども登場して、人を介さずに情報を得ることができ、進化した部分もありますが、やはり生きている人と実際に話すこと以上に価値があるとは思えません。私が通っている大学院には、大学を卒業したばかりの人、会社員、起業家、官公庁や企業から派遣されてきている人など、さまざまな人がいて、その方たちから話を聞くということは本当に貴重な財産です。
トウシル:その方の生きざまや背景などを知ることで、自分の人生を考える一助になりますよね。
レイチェル:はい。だから、もし、あなたの身近に「投資をしている人」がいたら、ぜひその人を大切にしてください。すでに投資をしている人にとっては貴重な情報交換になりますし、まだ始めていない人にとっては背中を押してくれる先輩でもあります。ぜひ勇気を出して、一歩を踏み出し、自分の人生をマネジメントできるようになってほしいですね。
トウシル:本日はありがとうございました!
<編集部Yの取材後記> ちょっとはにかんだ笑顔が印象的なレイチェルさん。実は編集部Yとほぼ同郷ということもあり、取材後半は方言丸出しでの会話となり、テープ起こしを標準語に直すのにちょっと苦労しました(笑)。 長い人生の途中で方向転換することに、さほど大きな決断もなかった、とおっしゃっていて、人間は、何度でもやり直し、学びなおしができる「時間」という財産を持っていることに再度気づかされました。 レイチェルさんの書籍は、お話上手な語り口調そのまま。サクッと読めて、本当に必要なことだけが頭に残る書籍です。米国株を始めたい人だけでなく、投資を始めたい人にぜひ読んでいただきたい一冊です。 |
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