一括投資はリスクが高いイメージもあるが、積立投資とほぼ同様の結果に

 続いて、資金を一度に投じる一括投資を行った場合に、どのような利回りになったか、投資期間ごとに確認していきます。

1年間一括投資をした場合の利回りごとの実現回数

 まず投資期間1年の場合ですが、積立投資の場合とほぼ同様で、+18%以上の場合と、▲10%未満の場合が多くなるものの、その間はまんべんなく分布するという結果になりました。投資期間1年といった短い期間の場合は、積立投資であろうと、一括投資であろうと、利回りが安定しないことがわかります。

 次に、投資期間が10年の場合です。

10年間一括投資をした場合の利回りごとの実現回数

 投資期間が10年になると、ほとんどの場合で利回りがプラスになっています。また、マイナスになった場合であっても、低くても▲4%までに収まっており、積立投資の場合に見られた▲10%近くの結果は一度も発生していません。

 次に、投資期間が20年の場合です。

20年間一括投資をした場合の利回りごとの実現回数

 20年になると、2%以上の利回りが確保できており、全てプラスになっています。積立投資でも、一括投資でも、20年間投資できると損失は発生しなかったことになります。

 最後に、投資期間が30年の場合です。

30年間一括投資をした場合の利回りごとの実現回数

 30年の場合には、利回りが4~10%に収まっており、特に6~8%に集中しています。積立投資の方では6~10%に収まっていましたが、一括投資では少し低めの4~6%の場合も残っています。

 これは、たまたまインデックスが高いタイミングに一括投資をしてしまうと、利回りが低めになってしまうためでしょう。そういう意味では、積立投資は投資タイミングの時間分散効果があると言えますね。

投資対象が同じであれば、利回りは同じ水準に

 今回の分析では、積立投資と一括投資の2つの方法について、いずれも世界株式インデックス(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)に投資したとして、利回りを確認しました。もちろん個別の事例では利回りはさまざまですが、投資期間が長くなればなるほど、いずれの投資方法であっても利回りはほぼ同じ水準になっていることが確認できました。

 投資対象がいずれも同じ世界株式インデックスでしたので、実現した利回りがほぼ同じ水準になるのは当然の結果と言ってもよいでしょう(日本株式と世界株式など、投資対象が異なっていれば利回りも異なってくるはずです)。

 積立投資がいいのか、一括投資がいいのかが話題になることもありますが、長期的な資産形成であるなら、あまり細かい投資のタイミングは気にすることなく、資金的に余裕がある時は投資をしていく、といったスタンスでよいのではないかと考えています。