令和6年からの新NISA移行で現行NISAはどうなる?
令和5年もあと少しとなり、いよいよ新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)がスタートとなる令和6年がやってきます。
ちまたでは新NISAへの注目度、期待度が高く、これを機に株式投資を始める、という方も多いようです。
一方で、すでに以前から株式投資をしている個人投資家の方が気になるのが、新NISAへの移行に伴い現行NISAはどうなるの?という点だと思います。
そこで今回のコラムは、最低限これだけは押さえておきたい、という点に絞って解説していきます。
令和6年からは現行NISAと新NISAが同時に存在する形に
現行NISAの口座にて株式を保有している方が一番気になるのが、「新NISAが始まったら現行NISAはどうなるの?」という点だと思います。
中には、新NISAが始まったら現行NISAは完全に終了となる、と勘違いされている方もいるようですので、ここで正しい知識を身に付けておいてください。
令和6年に新NISAがスタートしますが、現行NISAがそれにとって代わられることはなく、引き続き非課税期間満了までは売却益や配当金につき、現行NISA口座で保有している株式は非課税の恩恵を受けることができます。
例えば令和4年に NISA口座で買った株は令和8年末まで非課税ですし、今年令和5年にNISA口座で買った株は令和9年末まで非課税となります。
令和4年までできたロールオーバーはもうできない
ただし1点注意が必要な点があります。それは、令和4年まではできた「ロールオーバー」は、すでにできなくなっているということです。
ロールオーバーとは、非課税期間が満了した後も、その翌年のNISA非課税枠を使って、さらに5年間同じ株を非課税で保有し続けることができるという制度です。
例えば平成30年に NISA口座で買った株は令和4年で非課税期間が満了になりますが、令和5年の非課税枠を使ってロールオーバーすることで、非課税期間を令和9年まで延ばすことができました。
でも、平成31年(令和元年)に NISA口座で買った株は令和5年末に非課税期間満了になるものの、ロールオーバーはできなくなっています。
なぜなら、令和6年からは新NISAが始まるため、現行NISAの枠組みをさらに5年間延長することができないからです。
選択肢は大きく分けて3つ
では、平成31年(令和元年)に NISA口座で買った株はどうすればよいのでしょうか?
主に3つの選択肢があります。
- 令和5年末(非課税期間の終了)が到来するまでに売却する
- 令和5年末以降も保有を続ける
- 令和6年スタートの新NISA枠を使って買い直す
もし十分な利益が乗っていて満足いっているのであれば、(1)でももちろんよいですが、無理に令和5年中に売らずとも、(2)のようにそのまま保有を続ければ、令和6年に通常の口座(特定口座や一般口座)に移管されます。
そして通常の口座に移管される際の株価は令和5年末の時価になるので、もし NISAの非課税期間中に含み益が生じていた場合は、利益が移管時に非課税で実現することになります。
例えば令和元年に NISA口座で100万円投資し、それが令和5年末に300万円になっていた場合、令和6年に通常口座に移管される時の取得価格は100万円ではなく300万円となります。
したがって、慌てて令和5年中に売ることをしなくとも、自動的に令和6年の移管時に200万円の利益が非課税で実現しますから、そのまま保有していても特段問題にはなりません。
筆者ならどう考えるか?
もしくは(3)のように、いったん売却してから令和6年以降に新NISAにて買い直すという方法もあります。
この方法を推奨する専門家の方もおり、その理由として現行NISAは非課税期間が最大5年間であるのに対し、新NISAは無期限だからそちらに移行した方がよい、というものです。
確かにそれも一理ありますし、新NISAの成長投資枠(個別株が買える限度額)1,200万円の枠を使い切るだけの資産が現時点でない方であればそれも有効だと思います。
一方、成長投資枠1,200万円を例えば今後5年間やそれに近い期間で全て埋めるだけの資力があるような方であれば、新NISAで1,200万円の非課税枠をフルに使うことが可能ですし、かつ現行NISAでも期限付きとはいえ非課税枠を使うことができます。無理に現行NISAで保有している株を売却して新NISAで買い直す必要もないと考えています。
いずれにせよ、現行NISAで保有している株を売却してもよいし、その後新NISAで買い直してもよいですが、新NISAが始まる前に慌てて売る必要はないというのが結論です。
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