米国高配当株3:インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス(IFF)

 1800年代にサンダルウッドオイルとクローブオイルの生産からスタートし、今日では生産食品、飲料、健康・バイオサイエンス、香りと医薬品のソリューションと、化粧品有効成分や天然健康成分を含む補完的な製品の大手製造メーカーとなりました。

 製品は主に、香水・化粧品、ヘアケア・その他パーソナルケア製品、せっけん・洗剤、クリーニング製品、乳製品、食肉・その他加工食品、飲料、スナック菓子・風味食品、菓子・焼き菓子、甘味料、栄養補助食品、食品保護、乳幼児・高齢者栄養、機能性食品、医薬品賦形剤・口腔ケア製品のメーカーに販売されています。

 時価総額は182億ドルで、日本円で約2兆7,500億円となっています(1USD=150.50円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「ナリッシュ事業(Nourish)」で、続いて「セント事業(Scent)」、「ヘルス&バイオサイエンス事業(Health & Biosciences)」、「ファーマ・ソリューションズ事業(Pharma Solutions)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「ナリッシュ事業」では飲料、乳製品、ベーカリー、製菓、料理など幅広い用途において、栄養価、食感、機能性を高める天然由来原料の幅広いポートフォリオで構成され、「セント事業」ではフレグランスコンパウンド、フレグランス原料、化粧品原料を製造しており、これらは世界最高級の香水や有名な家庭用・パーソナルケア製品に不可欠な存在となっています。

競合他社

 競合他社として、小売店や外食産業向けの特殊食品を製造・販売する会社であるランカスター・コロニー(LANC)、乳製品、肉製品、大豆および植物油、トマト、コーヒー豆、砂糖およびその他の甘味料、その他の果物および野菜、トウモロコシ製品、小麦製品およびジャガイモを含む食品および飲料製品を製造および販売するクラフト・ハインツ(KHC)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を下回って推移していますが、配当は横ばいで推移しています。

 甘味料やタンパク質溶液などの原料を提供している消費者企業などのエンドユーザーからの継続的な在庫調整により需要がインフレ圧力の中で縮小したことや、利益維持のため値上げを行っているもののそれでもなおコスト増を賄えず継続して値上げをしていることなどから販売量が大きく減少し、今年の8月に株価は10年ぶりの安値に下落しました。

 しかし、直近では業績が改善してきていることもあり10月以降少しずつ株価が回復してきています。

 昨年、おととしには2%台で推移していた配当利回りも、株価が下落したことで4%を超える水準まで上昇しており、この状況を受けてNISAで保有するのも選択肢の一つではないでしょうか。

業績動向

 2023年11月6日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 10月にはルーカス・マイヤーズ化粧品ブランドを含む化粧品原料部門をスイスの化学会社クラリアントAGに8億1,000万ドルで売却し、同四半期には、フェイクミートに風味、調味料、色を加えるための原料を製造していたセイボリー・ソリューションズ部門の売却も完了させ経営の合理化を推し進めました。

 そういった背景と、食品素材とフレグランス・ソリューションの価格上昇が受け入れられ始めたことと投入コストの緩和が好感され業績が回復しています。

 会社側も2023年通期の調整後営業EBITDAは前回発表したガイダンス範囲の中位から上位を達成できると考えていると発表しています。

 次回2024年2月14日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 インフレによるコストの増加には会社側も特に懸念しており、地政学リスクの長期化に伴うサプライチェーンの混乱などインフレの拡大・長期化には引き続き注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:3.24ドル
配当利回り:4.56%
株価:71.02ドル(約1万0,600円)

 この銘柄、権利落ち日は12月27日(権利実施は1月8日)です。

 配当利回りは119日時点で4.56%、株価は119日終値が71.02ドルでおよそ1万0,600円から購入できます(1USD=150.50円計算)。

 2020年3月からの最高値は156.78ドル、最安値62.82ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株4:コントール・ブランズ(KTB)

 米国に本社を置く世界的なライフスタイルアパレル企業で、主にWranglerとLeeのブランド名で、アパレル、フットウエア、アクセサリーのデザイン、生産、調達、販売、流通、ライセンス供与を行っています。

 1889年創業のLeeと1947年創業のWranglerはその後VF Corporationの傘下に入り、2018 年8月にコントール・ブランズとしてスピンオフすることが発表されました。

 同社の製品は、米国・欧州・アジア太平洋地域を中心に百貨店、専門店、直営店、オンラインショップなどを通じて世界中で販売されています。

 時価総額は27億ドルで、日本円で約4,200億円となっています(1USD=150.50円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「ラングラー事業(Wrangler)」で、続いて「リー事業(Lee)」となります。

「ラングラー事業」、「リー事業」ともにデニム、アパレル、フットウエア、アクセサリーを中心に事業を展開しています。

 両ブランドともに売上の中心は米国ですが、米国内では「Wrangler」のほうが圧倒的に売上が大きく、米国外の売上は「Lee」のほうが上回っている状況です。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

競合他社

 競合他社として、ライフスタイルにインスパイアされたアスレチックアパレルとアクセサリーのデザイン・流通・小売を行うルルレモン・アスレティカ(LULU)、「Levi's」、「Signature by Levi Strauss & Co.」、「DENIZEN」、「Dockers」、「Beyond Yoga」の各ブランドで、男性、女性、子供向けのジーンズ、カジュアルウエア、および関連アクセサリーの設計・販売を行うリーバイ・ストラウス(LEVI)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準で上回って推移しており、2021年から連続で増配しています。

 厳しい外部環境下でありながらも業績が比較的好調であることから、株価は年初から2割程度上昇しています。

 会社側は、来年に向けてさらに強固な基盤を確立するため、在庫水準のさらなる引き下げに注力しており、第4四半期からは、粗利益率の拡大により、2024年に向けて加速度的な利益成長が見込まれると発表しており、今後の業績拡大とそれに伴う株価上昇が期待されます。

業績動向

 2023年11月2日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を下回り、売上は市場予想を上回りました。過年度に関連する関税費用の予期せぬ費用計上により利益は減少しましたが、それを除けば前年同期の調整後EPS(1株当たり利益)から10%増加しています。

 また、会社側はDTC(Direct to Consumer)の成長を加速し、売上総利益率の改善を推進するとともに、戦略的な価格設定、投入コストの減少によって2024年には売上総利益率が大幅に拡大すると予想していると発表しており、今後も堅調な業績で推移することが期待されます。

 次回は2024年2月27日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 中国での売り上げが減少しており、他の地域での売り上げ回復と相殺されている状況です。今後、中国経済の回復が遅くなるよと業績への影響が懸念される点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.00ドル
配当利回り:4.03%
株価:49.61ドル(約7,400円)

 この銘柄、権利落ち日は12月27日(権利実施は12月18日)です。

 配当利回りは119日時点で4.03%、株価は119日終値が49.61ドルでおよそ7,400円から購入できます(1USD=150.50円計算)。

 2020年3月からの最高値は67.26ドル、最安値13.80ドルとなっています(終値ベース)。