アップルやファーウェイの主要部品サプライヤー、スマホ市場の回復が追い風

現地コード 銘柄名
02018

瑞声科技控股

(AACテクノロジーズ)

株価 情報種類

16.90HKD
(11/9現在)

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 BOCIはファーウェイの「Mate 60」、アップルの「iPhone 15」に続く小米集団(01810)の「Xiaomi 14」の売れ行き好調が、スマートフォンのサプライチェーンに対する投資心理の回復に寄与するとみている。アップル、小米集団、ファーウェイというスマホ大手3社はいずれも瑞声科技の主要取引先で、2023年の売り上げ貢献ではトップスリーに並ぶ見込み。瑞声科技はハイエンドの音響部品やMEMS(微小電子機械システム)マイク、ハプティクス(電磁電動)、精密構造部品におけるファーウェイと小米集団の単独・主要サプライヤーであり、BOCIはこの先の大きな恩恵を予想。また、従来型の自動車メーカーと新興EVメーカー向けに、車載スピーカーの供給量を伸ばしていることを高く評価。新規の光学事業に対して慎重見通しを示しつつ成熟ビジネスの構造的な回復に目を向け、同社株の低バリュエーションを指摘した。

 主要顧客別に見ると、まずアップルへの部品供給業務にとっては、中国本土における販売増や供給問題の解消に伴う「iPhone 15」の販売見通しの改善が追い風。一方、小米集団では、「Xiaomi 14」の販売台数が数日間で100万台超えを達成するなど、予想以上に好調。瑞声科技は「Xiaomi 14」向けにスピーカー、受信機、ハプティクス、水蒸気冷却、金属筐体から小型統合モジュールまで、幅広い製品を供給する。ファーウェイに関しては「Mate 60」や次期「Mate 70」効果がプラス。現時点では「Mate 60」向けのスピーカー、ハプティクス、金属筐体の主要サプライヤーであり、折り畳み式「Honor Magic Foldable」のヒンジの単独サプライヤー。一部製品の需要増による平均価格の上昇と利益率の改善が期待できるという。

 自動車関連では、買収する予定のベルギーの車載用サウンドシステムメーカー、プレミアム・サウンド・ソリューション(PSS)が、ファーウェイの「AITO M9 EV」と小米集団のEV第1号モデルの独占スピーカーサプライヤーとなる運び。BOCIは瑞声科技の車載用音響事業の2023年の売上高を1億元と予想、2024年には2倍超に拡大するとみる。

 一方、光学部品に関しては引き続き慎重。供給過剰感が強い中・低価格品の比重が高いためで、粗利益ベースの損益分岐点への到達目標を2025年へ、1年先送りした。

 BOCIは光学部品の利益率の低迷を理由に2023年の予想EPS(1株当たり利益)を29%減額修正する半面、2024年、2025年に関してはハイエンド・スマホの需要回復を受けた音響、ハプティクス、EMD&PM(電磁電動および精密構造)部品の好調を予想。両年の予想EPSを1%、6%増額修正した。引き続き2024年予想PER(株価収益率)17倍をあてはめ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。レーティング面の潜在リスク要因としては、スマホ業界のアップグレードの遅れや光学部品の需要回復の遅れ、マクロ経済動向を受けたテック製品需要への影響、同業他社による訴訟などの可能性を挙げている。