1兆元の国債発行でインフラ投資強化へ、中東情勢の影響は限定的か

現地コード 銘柄名
00390

中国中鉄

(チャイナ・レールウェイ)

株価 情報種類

3.70HKD
(10/19現在)

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 景気減速局面が続く中国では、改めて国内経済のけん引役としてのインフラ投資が重要度を増している。主要メディアの最近の報道によれば、中国政府は主にインフラ投資向けに1兆元の国債を発行する方向で検討中という。中国の2022年通年のインフラ投資実績は総額188億7,000万元で、その大半は地方政府による投資だったが、この先短期的には、中央政府が重要な役割を担う可能性が高まっている。インフラ建設銘柄の株価は最近の調整を受け、再び底値圏に沈んだが、BOCIは中国2大ゼネコンのうち1社、中国中鉄の目標株価を維持。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 最近のインフラ銘柄の下落は、中東情勢の緊迫化を受け、「一帯一路」プロジェクトに対する懸念が高まったため。ただ、BOCIは海外プロジェクトの収益貢献は中国国内より遥かに小さいとし、市場の過剰反応を指摘している。例えば、2大ゼネコンの中国中鉄と中国鉄建(01186)の場合、2022年通期の売上高に占める海外事業の割合はわずか5.1%、4.9%。中東に限れば、この数字はさらに小さく、リスクエクスポージャーはほとんど存在しないとしている。

 主要メディアの報道によれば、中国政府はインフラ投資の強化に向け、1兆元の国債発行に乗り出す可能性が高い。インフラ投資はこれまで、主に地方政府の土地販売収入に支えられてきたが、ここ数年は不動産不況を背景に状況が変わり、中央政府がインフラプロジェクトの投資主体となっている。従って、財政赤字の拡大の容認や国債の発行は、国内経済を底上げするための有効な手段になり得るという。

 BOCIによると、中国中鉄の2023年12月通期の利益成長率は、前年比10%台前半となる見込み。これは多くの業種を上回る伸びとなる。同社の場合はさらに、現金配当も安定的で、かつ確実性が高い。

 同社株価は2023年上期に全体相場をアウトパフォームしたが、下期に入ってからは一転してアンダーパフォーム。株価のバリュエーションは再び底値圏に沈んだ。BOCIは魅力的なバリュエーションや確実性の高い現金配当政策、政府によるインフラ投資の強化などを理由に、目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 一方、レーティング面での潜在的なリスク要因としては、不動産不況の影響を挙げている。自前の不動産開発ビジネスと建設請負ビジネスの両面に影響する可能性があるとしている。