現状を変えたい!という想いの強さが一歩を踏み出す力になる

 FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは、逐語訳で経済的自立・早期退職です。

 総じてFI(経済的自立)をめざす人は多くとも、RE(早期退職)するかは人によって分かれるでしょう。また、FIREの定義も人によって異なるでしょう。

「会社員からの独立」をFIREと呼ぶ人もいれば、「働かないこと」をFIREと呼ぶ人もいます。

 FIREの解釈や定義は些末な問題で、より本質的な要素は、現代の時代背景が根底にあると私は感じています。

 私の周囲にも若くしてFIREした人がいます。

 彼らがFIREを決断した背景には共通点がみいだせます。

  1. 現状を変えたいという強い思いが原動力となり、株式や不動産投資などに打ち込んだ
  2. 働くこと自体が嫌いというよりは、組織で働くことによる不自由や制約、無味乾燥な日々を厭う

ということです。

 足の引っ張り合い、責任転嫁、嫉妬やパワハラ、異能の排除、マウント合戦――。

 多くの仕事をこなすと、期待値はより上がり、より多くの仕事が降ってくる――。

 そうした「際限なき世界」から脱却するには、FIREは有効な手段です。

  1. もっと家族や大切な人と一緒に過ごしたい
  2. 何か大きな目的のために自分を捧げたい
  3. 閉塞感のあるこの時代に、自分の力を労働や消費とは違うことに使いたい
  4. 1度きりの人生、本当はもっと充実した時間の過ごし方があるんじゃないか

 そうした心の叫びから目を背けず、耳をかたむけて素直に行動へ移す際にも、FIREは有効な手段です。

 現状を変えたいという渇望は、FIREへの原動力になります。

 ハングリー精神という言葉があるように、現状が満ち足りているならば、状況を変えようと努力をしたり、欠乏を埋めようと奮起したりする必要に迫られません。

 逆に言えば、いまこれだけFIREという言葉が根強く耳目を集めるのは、それだけ現状や将来に不安や不満を抱える人が多いことを示唆しているのかもしれません。

 終身雇用を前提とした経済成長期のロールモデルが崩れ、会社に入って家を買って…という従来の「幸せな生き方の正解」が多様化しました。

 技術が進歩したのに、むしろ常に何かに追われるかのような忙しさと焦燥感が増した――。そんな現代人の宿痾が、FIREムーブメントという現象に表出しているのかもしれません。

 FIREするか決断するということは、「自分や家族にとっての幸せな生き方を定義し、その生き方を達成するための手段としてFIREが適するのかを主体的に判断すること」でもあります。

 そして、現状を変えるにはエネルギーがいります。現状に強烈な渇望や不満、不自由があれば、決断は容易です。一方、現状にさしたる不満がなければ、現状を変える決断には踏ん切りが必要です。

 逆に言えば、本当に心が現状を変えることを欲していれば、自然と決心はつく。私はそう感じました。

Vol.1「FIREの仕方」編
Vol.2「FIREの決断」編 HERE!
Vol.3「FIRE後のお金」編 Coming soon!
Vol.4「FIREの人生」編 Coming soon!