Q フィリピンに移住した理由は?

家族4人、月20万円で暮らすことができる

 最大の理由は生活費が安いからです。今の資産でも個人年金が出るまで乗り切れるとはいえ、決して余裕があるわけではありません。移住したら、多少でも収入を得るため、ブログやYouTubeを始めるつもりでしたが、そんなに簡単に稼げるとは思っていませんでした。

 そのため、生活費を切り詰める必要がありました。具体的にいうと月20万円程度で暮らせたら理想かなと思っていました。

 となると日本や米国だと、ちょっときつい……。過去の経験では日本だと最低30万円、米国だと35万円ほどかかりました。

 私は米国勤務が長いこともあって、住む場所にこだわりはありませんでした。米国には家族で赴任していたため、妻や子供たちも同じでした。それで日本と米国にこだわらず、月20万円で暮らせそうなところを探し、最終的にフィリピンに決めました。

 子供達が英語力を身に付けられる点も大きな魅力でした。

 まずは東南アジアに絞り、シンガポールやマレーシア、タイ、フィリピンなどについて調べてみました。それらの国なら家族が安心して暮らせると思ったからです。

 その結果、シンガポールとマレーシアは物価が高いうえ、永住ビザが取りにくいことがわかりました。取得料が高いだけでなく、収入、あるいは資産の制限がありました。また、タイは物価が安く、永住ビザも取りやすいのですが、英語が通じないのが難点でした。

 一方フィリピンは、物価が安い、永住ビザが取りやすい、英語が通じるなどすべての条件を満たしていました。それに加えて、私が現在住んでいるフィリピンの地方都市は比較的治安がよく、教育環境も十分です。ただし、同じフィリピンでもマニラやセブなどの大都市だと住居費などが高くなるので、フィリピンの地方都市への移住を決めました。

 将来、海外移住を考えている方のために、永住ビザについて付け加えておきます。フィリピンはシンガポールなどに比べて取りやすいといいましたが、それでも家族4人だと420万円ほどかかります。そのうち350万円は預託金なので、ビザを返還すると戻ってきますが、取得時にはそれだけのお金が必要です。

 お金を準備するのが難しい場合、国によっては観光ビザで入国し、延長しながら長期間暮らすことが可能なので、その方法を選ぶのも手かもしれません。ただし、何度も出入国を繰り返しているとトラブルに発展することがあるので、個人的にはあまりお勧めしません。

 いずれにしても、永住ビザを取るだけでもかなりお金がかかるということは知っておく必要があると思います。

Q FIRE後の生活は?

ブログ、YouTube、17LIVE、買い物、食事の準備……

 フィリピンに移住して2年ほどたちますが、今のところ生活は快適そのものです。ここは地方都市といってもそこそこ大きい町なので、欲しいものは何でも手に入ります。スーパーに行けば、日本の調味料なども売られていますし、食生活もまったく問題ありません。

 東南アジアというと暑いイメージがあるかもしれませんが、ここは海沿いの町ということもあって、それほどではありません。東京と比べたら空気がきれいだし、景観もいいので、とても暮らしやすいです。

 最高気温も32度くらいまでしか上がりませんし、地震や台風の被害がほぼないのも魅力です。

 子供たちは地元の学校に通っていますが、言葉が英語なのでコミュニケーションの問題もなく、学校生活を楽しんでいるようです。

 一方、私が働いていたときはいつも家にいた妻は、こっちに来て働き始めました。在宅勤務で、週に何日か自宅でパソコンを使い、日本の企業さんとやり取りをしています。

 私自身は、こっちに来てすぐFIREや海外移住をテーマとするブログを始め、今年春にはYouTubeチャンネルも開設しました。さらに最近、ライブ配信の17LIVE(イチナナ)も始めて、けっこう忙しくしています。

 とくに最初のうちは、1本記事を書くのに何時間もかかっていたため、朝から晩までパソコンに向かっていることもありました。そうしたら妻に「何のためにFIREしたの?」といわれまして……。それはそうだなと思い、今は1日5~6時間にとどめています。

 私がセミリタイアする条件として、家事の手伝いをすることを決めていました。買い物と食事の用意を私が担当し、その他、掃除や洗濯などは妻にお願いするという分担です。担当の家事は、1日中パソコンに向かっていた時期も含め毎日行っています。

 実は、この生活になってから、妻との仲が険悪になりかけたことがありました。毎日家にいて家事も行うので、家のことでいろいろ気になることがあったんです。妻がトイレットペーパーを一度に買いすぎるとか(笑)。

 それで、会社にいたとき部下に命じていたような調子で「非効率なことはやめるべきだ」と妻にいいました。妻は私のこういった行動がとても不満で不快だったようです。

 それでいい合いになったのですが、よくよく考えてみると、私が悪かったと思い直しました。いくら私が家事をやるようになったとはいえ、これまでは妻の聖域だったのだから、一方的に習慣や決まり事を変えるのはよくなかったかな、と。

 それに、妻を部下のように扱ったのも間違いでした。ですから今は、妻が長年の間に築き上げた習慣やルールに従うようにしています。

 とはいえ、非効率だなあと感じることもあります。それらに関しては妻の顔色をうかがいながら、少しずつ変えていこうかなと思っています(笑)。

Q FIRE後のマネー収支は?

支出は予定通り。もう少し収入を増やしたい

 支出は予定通りで、だいたい月20万円程度です。ざっくり内訳をいうと、家賃が約6万円、水道光熱費が8,000円、食費が3万2,000円くらい、子供2人の学費と習い事にかかる費用が2~3万円、携帯電話代は日本よりはるかに安くて家族で1,000円ちょっと、その他レジャー費などが数万円といったところです。

 ちなみに家は2LDKのアパートなのですが、1部屋1部屋が広く、リビングダイニングキッチンは30畳くらいあります。おそらく東京だったら、家賃20~30万円はかかると思います。

 一方、収入はブログとYouTubeで得ていますが、まだ視聴者が少ないため、両方合わせても月2万円程度です。それに妻の給与を加えると、ひと月の平均収入は7万円から10万円といったところでしょうか。

 今は現金の一部を少しずつ切り崩しています。それは予定していたことなので、焦りのようなものはありません。また、妻が働いてくれるおかげで、切り崩す額は抑えられています。

 とはいえ、切り崩さないで済むのなら、それに越したことはないので、ブログやYouTubeの収入をもうちょっと増やせたらと思っています。