3.日米金利差も米ドル/円相場に大きく影響

ある程度の日米金利差があり、金利差が拡大する局面では円安米ドル高に動く傾向がある

 図表3は米ドル/円レートと日米金利差(10年国債ベース)の推移です。この図の期間に限れば、日米金利差が1%以上あり、金利差が拡大した局面では円安米ドル高に動く傾向が強かったことが分かります。

(1)(3)(4)(5)などがその局面で、(2)は金利差が拡大したものの円高米ドル安に動いており、必ず円安米ドル高になるとは限りませんが、その傾向はかなり強かったことが分かります。

 今後の日米金利差を予想してみると、日本の10年国債利回りがYCC(イールドカーブ・コントロール政策、長短金利操作政策)のもとで大きく動きにくい一方、米10年国債利回りもFRB(米連邦準備制度理事会)による高金利政策がしばらくは続きそうなことから、金利差が大きく縮小する可能性は低いと見ています。

 そのような環境であれば、米ドル/円レートも大きくは動かないことが予想されるため、米ドル/円の為替ヘッジコストの高さを考えると、当面は外債投資の際には為替ヘッジは行わずに、外債の金利をフルに享受しても良いのではないかと考えています。

 一方、将来的に為替ヘッジが必要な局面は、日本銀行がYCC政策を解除したり、マイナス金利政策などの金融緩和を終了するケースや、FRBが利下げに動き、日米金利差が大きく縮小するケースであると考えます。

 上述の通り、その局面はまだ先ではないかと考えていますが、大きな貿易赤字が既に無くなっていることを踏まえると、円安米ドル高を支えているのは日米金利差が主な要因となっており、長期の円安米ドル高への楽観は禁物でしょう。長期的には慎重に投資環境を分析していく必要はあるでしょう。

[図表3]  米ドル/円レートと日米金利差の推移  

期間:2015年1月1日~2023年8月25日、日次
日米金利差は日米10年国債利回りの格差(米国~日本)、国債利回りはBloomberg Generic
(出所)Bloombergを基に野村アセットマネジメント作成

<関連銘柄>
NF・外国債ヘッジ無ETF(証券コード:2511)
NF・外国債ヘッジ有ETF(証券コード:2512)
NF・米国債7~10年ヘッジ無ETF(証券コード:2647)
NF・米国債7~10年ヘッジ有ETF(証券コード:2648)

<当資料で使用した指数の著作権等について>
「Bloomberg®」は、Bloomberg Finance L.P.および、同インデックスの管理者であるBloomberg Index Services Limitedをはじめとする関連会社(以下、総称して「ブルームバーグ」)の商標およびサービスマークです。ブルームバーグまたはブルームバーグのライセンサーは、ブルームバーグ・インデックスに対する一切の独占的権利を有しています。