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膨大な負けを無駄にしない人が人より少し勝つことができる

It's Still Rock and Roll to Me

 パウエルFRB議長は、ジャクソンホール会合のスピーチで、米国のコアインフレ率がまだ高い水準にとどまっていることに強い懸念を示した。

 問題はコアPCE指数の半分を占めるヘルスケア、食品サービス、運輸、宿泊施設などのいわゆる「非住宅サービス部門」で、この部門のインフレ率はFRBの大幅利上げにもかかわらず、ほとんど下がっていない。これは金利感応度が低いせいもあるが、大きな理由は、賃金コスト上昇の影響を強く受けているためだ。

 パウエル議長は、家計が支出を抑制する水準まで債務返済コスト(金利)を引き上げることを通じて「総需要と総供給を均衡させる必要がある」と述べた。ところが、非住宅サービス部門のインフレが下がらないなかで、住宅サービス部門のインフレ率が再び上昇し始めた。インフレ再燃はFRBが絶対に防がなくてはならないことで、追加利上げの強い動機となる。

 米経済は減速せず、個人消費は増加し、雇用市場は依然として過熱状態にある。FRBは金利を引締め状態まで引き上げたと思っていたが、実際は、単に緩和状態をなくしただけなのかもしれない。つまり中立金利(デフレにもインフレにもならない金利)はより高い水準にあるということであり、FRBが中立金利かどこなのかよく分かっていないことを認めたことになる。

 FRBが「インフレ圧力が続く限り、引き締めペースを維持する」姿勢を堅持することに変わりはない。しかし、インフレ率が目標の2%に近づくかどうかは不確実であり、金利水準も中立金利の推計に依存するため、今後の経済指標や当局者の発言に注目する必要があるだろう。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成