2023年上期はコスト削減で大幅に赤字縮小、2025年に損益分岐点到達へ

現地コード 銘柄名
01801

信達生物製薬

(イノベント・バイオロジックス)

株価 情報種類

34.65HKD
(8/25現在)

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 抗体医薬品の創薬ベンチャー、信達生物製薬の2023年6月中間決算は製品売上高が前年同期比20%増の24億6,000万元に達した。4-6月期は前年同期比35%増、前期比で23%増となる約14億元。シンチリマブ(sintilimab)の売上高が4-6月に前期比70%増を記録した。胃がんと扁平上皮がんの1次療法という二つの大型適応症が2023年3月に「国家医療保険償還医薬品リスト」(NRDL)に追加されたことや、国家食品薬品監督管理局が5月にEGFR遺伝子変異型NSCLC(非小細胞肺がん)という適応症を承認したことが、シンチリマブの大幅増収に寄与した。中間期の粗利益率は前年同期を2.4ポイント上回る81.3%。コスト効率の改善で、純損失は1億3,900万元と、赤字が大幅に縮小した。経営陣によれば、2025年にはEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)ベースで損益分岐点に到達する見通しという。BOCIは2023-25年の予想売上高を下方修正。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年中間期の売上高は27億元で、うち製品売上高は前年同期比20%増の24億6,000万元。米イーライリリーの開示情報によれば、シンチリマブの売上高は4%増の1億6,300万米ドル。4-6月期に前期比70%増の1億400万米ドルに達した。

 中国当局は医薬品流通に絡む贈収賄などの取り締まりを強化する「反腐敗」キャンペーンを開始したが、信達生物製薬のビジネスに影響は出ていないという。経営陣は今後も、以下の製品カテゴリーには影響しないとみている。◇NRDLに含まれる、◇医療機関による調達プロセスが完了している、◇PD-1(免疫チェックポイント)阻害薬のように明らかな有効性がある――。シンチリマブの価格はPD-1阻害薬の中で最も低く、かつ承認済みの適応症が7分野に及ぶため、「反腐敗」による影響は少ないと考えられるという。

 中間期には生産効率化とコストの最適化が寄与し、粗利益率が81.3%へ前年同期比2.4ポイント上昇した。研究開発費、一般管理費、販売費が各21%、10%、4%縮小するなど、コスト効率が全般に改善した。研究開発費の対製品売上高比率は、前年同期の58%に対して38%。下期には複数の治験フェーズ3の始動に伴い、再び上向く見通しだが、通期ベースでは2023年以降、対売上高比率の低下が予想されている。

 主要パイプライン(製品候補群)の開発は今後もポジティブな進展を見せる可能性が高い。うちIBI363(PD-1/IL-2融合蛋白質)はすでに200例への投与を完了。下期にはPD-(L)1抵抗性多発固形がんを対象とした予備データが得られる見通しとなった。

 BOCIは2023-25年の予想売上高を2%、8%、6%下方修正し、59億元、75億元、100億元に設定したが、これはPD-1阻害薬の売り上げが当初予想を下回る見通しが一因。ディスカウントキャッシュフロー方式に基づく目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。