株式投資で不調が続く原因は三つのうちのどれかにある

 前回のコラムでは、株式投資で不調が続く原因は次の三つのうちのどれかにある、という話をしました。少しおさらいしておきます。

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 株式投資は、「投資する銘柄を選ぶ」→「買う」→「売る」の一連の行動で成り立っていますから、以下の三つのうちどれかが不調の理由になります。

・投資する銘柄が良くなかった
・買うタイミングが良くなかった
・売るタイミングが良くなかった(売らずに保有し続ける行為も含む)

 例えば筆者が実践している「25日移動平均線を超えたら買い」「25日移動平均線を割り込んだら売り」というルールであれば、25日移動平均線を割り込んでいるのに買ったり、25日移動平均線を超えて上昇しているのに早々に売ったり、もしくは25日移動平均線を割り込んでいるのに売らなかったりすることが不調の原因になります。

 もちろん、筆者自身もマーケット環境に応じて、上記にプラスアルファやアレンジをして対応していますが、原則としては移動平均線を超えたら買って保有を続け、移動平均線を割り込んだら速やかに売却する、という行動ができていれば、それ自体は正しい行動と評価しています。

リスクが高い状態とはいつを指すのか?

 ところが、上記のように売買手法そのものは誤ってはいないはずなのに、損失が積み重なってしまうことが往々にしてあります。

 例えば「リスクが相対的に高い状態にある株を買う」ことです。これは、買った後株価が急落してしまう恐れが高い状況にもかかわらずその株を買ってしまうことを意味します。

 具体的には決算発表の直前に買うことや、株価が底値からかなり大きく上昇している成長株を買うことが挙げられます。

 これらは、売買タイミングの部類に入る内容かもしれませんが、筆者のように移動平均線を用いて順張りでトレンドに従って売買するような場合は、移動平均線を超えた直後とか、株価が移動平均線から大きく上方に乖離(かいり)していないときに買う、というのが正しい売買タイミングです。

 したがって、タイミングだけで考えれば、決算発表直前での買いや、株価が大きく上昇している銘柄の買いは誤ってはいないことになります。

 しかし、こうした行為は短期間で株価が急落して大きな損失を被ってしまう可能性が高くなります。

 特に今年7月後半~8月中旬にかけての決算発表シーズンでは、株価が底値から大きく上がっている成長株に関して、その成長が鈍化していることが明らかになりました。決算発表を受け、連日のストップ安比例配分などで、わずか数日で30%、40%と値下がりしてしまうケースがかなり目立ちました。

 ですから、特に高成長が期待されて株価が大きく上昇している銘柄の、決算発表直前の買いは、大きな損失を出さないという観点からは慎重になった方がよいでしょう。

短期的なトレンド転換のみを追いかけるのも失敗の要因

「25日移動平均線を超えたら買い」とそれだけを短絡的に考えているのも、うまくいかないことが多いです。

 よくあるのが、株価が下落基調にあるのに、25日移動平均線を一時的に超えたところで買ってしまうケースです。

 25日移動平均線というのは、株価が下落基調であっても、少し上昇しただけで超えてしまうこともよくあります。

 このとき、単純に「移動平均線を超えたら買い」というルールだけにとらわれていると、一時的な反発に引っ掛かり、結局はその後の下落で損切りを余儀なくされてしまいます。

 移動平均線を株価が超えたかどうかだけで判断するのではなく、もう少し長い目でみた株価のトレンドに注目しましょう。移動平均線が右肩下がりでずっと推移していたり、株価のローソク足そのものが下落基調になっているのであれば、その銘柄のファンダメンタルが悪化している可能性が高いので、買いを見送った方が無難と感じます。

 上記に付随してよく見かけるパターンが、日足チャートでは25日移動平均線を超えて上昇トレンドに転じたにもかかわらず、週足チャートや月足チャートではすでにチャート形状が崩れていて、右肩下がりになっているようなケースです。

 これはファンダメンタルの面でみて、業績が悪化していたり、成長が鈍化している場合によく表れる状態です。

 このケースも、日足チャートで25日移動平均線を超えたから、という理由だけで安易に買うのではなく、ファンダメンタルが良好で、週足や月足チャートが崩れていない状態のものを選ぶようにしましょう。

 株価のチャートのみで買うタイミングを見計らうのではなく、その銘柄のファンダメンタルの変化にもしっかり注目すべきです。

資金が流入していない銘柄の株価は上昇しにくい

 最後に、投資しようとしている銘柄が、そもそも買われていない銘柄でないかどうかをよく確認することが必要です。

 足元の状況であれば、インフレの継続懸念から成長株が非常に弱い状況です。まさに上記で挙げたような、株価そのものが右肩下がりで、週足チャートや月足チャートの形状も崩れてしまっているものが多いです。

 こうした銘柄に頑張って投資しても、そもそも大口の投資資金が流入していないため、株価の上昇はなかなか期待できません。

 ですから、今買われているジャンルの銘柄、例えば割安株とか高配当利回り株、東証プライム上場の大型株などへのシフトを検討する必要があります。

 ただ、買われる銘柄は将来にわたり常に同じではありません。例えば2020年3月以降の、いわゆるコロナ・ショックの急落後の反発は成長株が軒並み急騰した一方で、高配当利回り株はほとんど株価が上昇しませんでした。

 ですから、今買われているジャンルの銘柄を中心に投資候補銘柄を選定する一方、変化の兆候にもぜひ気づきたいものです。

 例えば年初来高値更新銘柄に成長株のランクインが増えてきたことが発見できたなら、成長株に資金が再び集まっていると判断して成長株を厚めに投資する、といったようにです。

 それでもうまくいかなかったら、自分の投資手法がマーケット環境と合っていないわけですから、前回のコラムで書いたように「休むも相場」で、一呼吸おいてみるのが良いと思います。

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