個人投資家の投資成績はまちまち

 2023年の日本株は、日経平均株価が春以降大きく上昇、商社株や海運株、鉄鋼株、銀行株など東証プライム上場の大型株も堅調な値動きとなっています。

 個人投資家の投資成績はというと、上記の東証プライム大型株や、配当利回りが高い銘柄などを中心に投資している方はまずまずの投資成績であるのに対し、東証グロースに上場している小型成長株を中心に投資している個人投資家は苦戦が続いているようです。

 そして、投資している銘柄は順調に上昇しているものの、なぜか利益を上げることができないと嘆いている方も少なくありません。

 そこで今回は、不調が続く個人投資家に対して、筆者からのアドバイスをお送りしようと思います。

不調の理由は三つのどれかに隠されている

 まず、株式投資で不調が続く状況とは、直近で含み損なり実現損といった損失を被っていることと定義します。

 もし何も動かなければ、利益も損失も生じませんからプラスマイナスゼロです。裏を返せば、損失が生じているのは、自分自身の投資行動に何らかの理由があるからです。

 株式投資は、「投資する銘柄を選ぶ」→「買う」→「売る」の一連の行動で成り立ちます。したがって、不調の理由は、以下の三つのどれか、もしくは二つ以上に該当することになります。

・投資する銘柄が良くなかった
・買うタイミングが良くなかった
・売るタイミングが良くなかった(売らずに保有し続ける行為も含む)

損失につながりやすい行動とは?

 例えば、銘柄選びであれば、業績やファンダメンタルもろくに確認せず、SNS(交流サイト)で話題になっているテーマ株や、友人に勧められた株を疑いもせずに買う、ということを繰り返していればおのずと失敗につながります。

 また、株価が急騰しているところに飛び乗ったり、株価が下落している途中で買ったりするのもそもそも損失につながりやすい行為です。

 売り時でいえば、株価がちょっと上がったら売ってしまっては利益を伸ばせませんし、逆にちょっと下がっただけで損切りしてしまうのも、余計な売買で損失を積み重ねてしまいます。

 また、株価が下がっているのに損切りをしないで保有し続けると、多額の含み損を抱えた塩漬け株になってしまいます。

 このようなことを繰り返していれば、マーケット環境がよほど良くなければ損失につながってしまいます。

正しい手法を行っていても損失が生じることもある

 ただ、株式投資を長年続けていると、それほどマーケット全体としては悪い状況ではないように思えるのに、なぜか自分自身の投資成果がイマイチな状況が続いてしまう…ということは結構生じます。

 銘柄選びや売買のタイミングが明らかに誤っているのであればそれも仕方ありませんが、時期によってはしっかり成果を上げられるような正しい手法を行っていても、マーケット環境が異なると良好な投資成績につながらないこともあります。

 筆者が行っている、移動平均線を超えたら買い、割り込んだら売り、という、株価のトレンドに従って売買する方法であれば、マーケット全体の方向感が乏しく、横ばいの状態になると途端に成果が落ちます。株価が横ばいだと、移動平均線を株価が行ったり来たりして、損切りが積み重なるためです。

 もちろん、このような状況を打開する策もないことはないですが、それでも明確な株価のトレンドが生じているときに比べれば投資成果は大きく低下します。

 このようなときは、いっそのこと株取引を休んでしまうのも一策です。完全に休むまではいかなくとも、ポジションを小さくして、失敗しても損失が少なく収まるようにするのです。

相場格言「休むも相場」「売るべし、買うべし、休むべし」

 株式投資には多くの格言がありますが、その中に「休むも相場」というものがあります。

 株式マーケットは、利益を上げやすい時期もそうでない時期もあります。それなのにいつも売買して利益を上げることを考えていては、結局は損をしてしまいます。

 だから、うまくいかないときはいっそのこと休んでしまうのが良い、という教えです。

 また、同じ意味で「売るべし、買うべし、休むべし」という格言もあります。

 実際、プロの世界でも、ディーラーの人たちは、自分自身の売買が失敗続きというときは、深追いせずにポジションを持たず完全に休み、クールダウンすることもあるそうです。

 ここでやってはいけないのが、被った損失を取り戻そうと頑張ってしまうことです。今まで正しいやり方を続けてきたのに損失を被っているということは、そもそも利益を上げることが困難なマーケット環境にあるということです。それなのにいくら頑張って取り戻そうとしても、さらに損失を膨らませてしまうのがオチです。

 うまくいかないときこそ、一呼吸おいて、冷静な気持ちでマーケットに向き合うようにしましょう。

 次回は、売買手法そのものは誤ってはいないものの損失が積み重なってしまう本当の理由について、深堀りしていきたいと思います。

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