2023年中間期は2桁増収で黒字転換、下期の新規受注の突破に期待

現地コード 銘柄名
01316

耐世特汽車系統集団有限公司

(ネクスティア・オートモーティブ)

株価 情報種類

5.20HKD
(8/17現在)

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 大手自動車部品メーカー、ネクスティアの2023年6月中間決算は、売上高が前年同期比17.4%増と、市場コンセンサス予想を上回った。多数の新規プログラムの立ち上げが、為替差損や料金値下げなどのマイナス影響を相殺した形。粗利益率の回復傾向や大幅な税負担の縮小で、純損益は前年同期の1,100万米ドルの赤字から、3,400万米ドルの黒字に転じた。新規受注は上期に28億米ドルとなり、うち27億米ドルが4-6月期の獲得分。経営陣は下期の受注動向に自信を示し、通期の新規受注目標を55億米ドルから60億米ドルに上方修正した。下期には主要顧客である米ビッグスリーと全米自動車労働組合(UAW)との契約交渉が不確実性につながる見通しだが(同社の売上高の5割以上が北米)、BOCIは業務効率の向上や新エネルギー車(NEV)向け業務へのシフト戦略などを理由に、同社のファンダメンタルズの改善傾向に変化はないとの見方。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年上期の売上高は前年同期比17.4%増の21億米ドルと、世界の自動車生産台数の11.2%増を上回る伸びだった。為替差損4,240万米ドルと商品価格の軟化を受けた料金値下げ分1,200万米ドルを調整した後の売上高は20.4%増となる。地域別では、アジア太平洋地域の売上高が43.7%増の5億4,400万米ドル。ここ2-3年間の大量のプログラムの立ち上げ(新規および他社からの奪取分)が寄与し、急成長を遂げた。他に北米が9.1%の増収。欧州・中東・アフリカ・南米が14.2%増収だった。

 上期の新規受注28億米ドルのうち27億米ドルが4-6月期に集中したが、これは世界的大手メーカーから第2弾となるステア・バイ・ワイヤ(SBW:ステアリングとタイヤを機械的につながず、電気信号でタイヤを操作するシステム)製造プログラムを受注したことや、国内NEV顧客との契約の継続によるもの。全体の98%をEV関連が占め、品目別では電動パワーステアリングが89%。他社からの奪取プログラムは全体の37%だった。

 BOCIは上期決算を受け、2023-24年の予想売上高を1-2%増額修正したが、顧客構成の中国メーカーシフトや受注獲得優先の戦略を理由に、粗利益率に関する見通しを下方修正。予想純利益を15-16%引き下げ、9,700万元、1億4,300万元に設定した。

 同社株価は現在、2023年、2024年の予想PER(株価収益率)で17.3倍、11.7倍の水準にあるが、世界のSBW業界における高い競争力やNEVメーカーからの旺盛な新規受注を考慮すれば、割高感はないとの見方。目標株価の算出基準を「2023年予想PER16倍」から「2024年予想PER13倍」に切り替えた上で、目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。この先の支援材料としては、SBW技術を導入したテスラの新型モデル3「ハイランド」の10-12月期の発売予定や、テスラからの新規受注の可能性を挙げている。