2023年中間期は11%減益、原油高と元安効果で下期業績を楽観

現地コード 銘柄名
00883

中国海洋石油

(CNOOC)

株価 情報種類

12.74HKD
(8/18現在)

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 中国最大のオフショア石油開発会社、CNOOCの2023年6月中間決算は、純利益が前年同期比11%減の638億元だった(売上高は5%減の1,921億元)。原油相場の下落を背景に減益決算となったものの、石油・天然ガスの実勢販売価格の上振れとコストの抑制で、BOCIの予想を9%上回った。続く下期について、BOCIは世界的な石油供給のひっ迫に伴う原油高を見込み、純利益が上期を12%上回るとみる。また、上期利益の上振れを受け、2023-25年の予想純利益を6%、10%、10%増額修正。この3年間の予想配当利回りが9.4-9.6%の高水準にあることや、人民元安に対するナチュラルヘッジなどを前向き評価し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 上期の石油とガスの実勢販売価格はBOCIの予想を3%、5%上回る水準。石油・ガス貿易(取引)部門の利益が予想を11億元上回ったことも、利益全体の予想上振れに寄与した。コスト面に目を向けると、超過利潤税は14億元と、予想以下の数字。良好な探査結果を受け、探査費用は前年同期比47%減少し、予想を16億元下回った。同社は上期に、中国のオフショアで新たに5カ所を発見し、石油・ガス構造物14カ所の評価に成功。ほかに権益25%を保有するガイアナ沖の巨大鉱区Stabroekでも、PSC(生産物分与契約)パートナーによる新たな発見があった。

 石油・ガス生産量は上期に前年同期比9%増の3億3,180万BOE(石油バレル換算)。自社の通期目標の50.3-51.0%に達した。

 上期のオールインコスト(費用総額)と営業費用は前年同期比7.1%減、7.9%減。元安効果に加え、生産量の拡大が営業費用の低減に寄与した。また、調整井の効果的な活用で、既存の油田の自然減衰率は過去最も低い水準に抑制されている。

 BOCIは原油高と元安を理由に、下期の純利益について上期比12%増を見込む。下期のブレント原油価格に関する予想は、上期比10%高の1バレル=平均88米ドル。人民元の対米ドル相場は上期比で2%下落するとみている。

 2024-25年のブレント原油価格については、1バレル=平均77米ドル、74米ドルを見込み、2023年通年の84米ドルから下げると予測しているが、それにもかかわらず、同社利益はほぼ横ばいで推移するとの見方。配当利回りは引き続き高水準で推移するとみる。

 BOCIは予想純利益の増額修正に伴い、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく1株当たりNAV(純資産価値)を18.49HKドルから18.74HKドルに上方修正。2016年以降の対NAVディスカウント率の中央値(過去4カ月間に11.5%から12.4%に拡大)をあてはめ、目標株価を据え置いた。2023年予想PER(株価収益率)では5.4倍の水準となる。

 一方、レーティング引き下げにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、急激な原油安と予想外のコスト増の可能性を挙げている。