米国高配当株5:ニュートリエン(NTR)
世界最大の農作物投入資材、サービス、ソリューションのプロバイダーです。
「未来への食糧供給」を目的としてニュートリエンは、生産者が持続可能な方法で食糧生産を拡大できるよう支援しています。
生産、流通、小売施設の世界トップクラスのネットワークを有し、農作物用栄養剤、農作物保護製品、種子を北米、南米、オーストラリアの農場センターネットワークを通じて生産者にサービス提供するとともに、肥料の3要素であるカリウム、窒素、リン酸を製造・販売し、2050年までに100億人に食糧を供給するという世界的な課題へのソリューションを開発しています。
時価総額は445億カナダドルで、日本円で約4兆7,800億円となっています(1CAD=107.50円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「小売事業(Retail)」で、続いて「ニトロゲン事業(Nitrogen、窒素)」、「ポタッシュ事業(Potash、カリウム)」、「ホスフェート事業(Phosphate、リン酸)」となります。
「小売事業」では、農作物用栄養剤、農作物保護製品、種子、を製造・販売し、「ニトロゲン事業」では窒素を、「ポタッシュ事業」ではカリウムを、「ホスフェート事業」ではリン酸の製造・販売を行っています。
競合他社
競合他社として、クリーンエネルギー、肥料、排出ガス削減、その他の産業用途向けに水素と窒素製品を製造するメーカーであるCFインダストリーズ・ホールディングス(CF)、濃縮リン酸塩とカリ作物栄養素の生産・販売を行うモザイク(MOS)、農業に特化した種子と作物保護ソリューションを提供するグローバル会社であるコルテバ(CTVA)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を下回って推移していますが、配当は今年に入って増配しています。
会社側は世界的なカリウム価格下落の影響が出ており、主要市場、特に北米では需要が引き続き増加しているものの、海外市場では回復の過程にばらつきがあるとしています。
また、2023年後半に予定されているプロジェクト完了後、市場環境に対応するため、カリウムの年間生産能力を1,800万トンに増強することを無期限停止するとともに、世界最大のクリーンアンモニア施設であるGeismar clean ammonia projectを中止すると発表しました。
しかし、これらによって2023年の資本支出を約2億ドル削減する見込みで、これらの戦略的行動によって業績が改善しそれに伴って株価が回復することが期待されます。
業績動向
2023年8月2日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を下回ったものの、売上は市場予想を上回りました。
カリウム化合物であるPotashの販売価格の低下と海外での販売数量の減少が北米での販売数量の増加を上回るとともに、窒素の販売価格が下落するなどした影響で業績が悪化しました。
今後について会社側は、ニュートリエンが取り扱っている製品の価格が下落しており、ロシアが黒海穀物取引を中止したことや米国中西部が今季記録的な乾燥に見舞われていることから、世界の穀物および油糧種子の需給逼迫(ひっぱく)に直面し、価格が下支えされる製品もあるが、それ以外でもコントロール可能なコストを削減し、2023年以降のフリーキャッシュフローを強化すると発表しており、今後、それらの対策が業績の回復につながるか注目です。
次回2023年11月1日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
中国とのカリウム契約やロシアの問題など、世界で事業を展開しているが故に各国の対応が業績に影響を及ぼしますが、動きが想定しづらい国との取引も多くそれらが業績に影響を与える点には注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:2.12ドル
配当利回り:3.18%
株価:66.49ドル(約9,600円)
この銘柄、権利落ち日は9月28日(権利実施は10月13日)です。
配当利回りは8月14日時点で3.18%、株価は8月11日終値が66.49ドルでおよそ9,600円から購入できます(1USD=145円計算)。
2020年からの最高値は114.50ドル、最安値は25.10ドルとなっています(終値ベース)。
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