米国高配当株3:フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシーズ(FIS)
銀行、証券、保険、商社、エンタープライズ・テクノロジー、小売、レストランなどさまざまな業種に向けてテクノロジー・ソリューションを提供するリーディング・カンパニーです。
アドバンス・インテグレーテッド・バンキング、コマーシャル・バンキングとアセット・ファイナンスの推進、次世代プラットフォーム・バンキングの構築、データソリューション、顧客コミュニケーション管理などさまざまなサービスを提供しています。
S&P500、Fortune 500の一社であり、世界の資産の半分以上が同社のシステムで管理されています。
時価総額は340億ドルで、日本円で約4兆9,000億円となっています(1USD=145円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「バンキング・ソリューション事業(Banking Solutions)」で、続いて「マーチャント・ソリューション事業(Merchant Solutions)」、「資本市場ソリューション事業(Capital Market Solutions)」, 「その他事業(Corporate and Other)」となります。
「バンキング・ソリューション事業」では、コア・プロセッシング・ソフトウエア、トランザクション・プロセッシング・ソフトウエア、補完的なアプリケーションやサービスをグローバルな金融機関、米国の地方銀行、コミュニティ銀行、信用組合、商業金融機関、政府機関などに提供し、「マーチャント・ソリューション事業」では、世界中のあらゆる規模の加盟店にサービスを提供、電子決済取引の受け入れ、承認、決済を可能にすることに注力しています。
競合他社
競合他社として、デジタル証券会社のプラットフォームを提供する投資持株会社であるフツ・ホールディングス(FUTU)、金融テクノロジーとソフトウエアソリューションの提供を行うストーン(STNE)、主にリアルタイムのデジタル決済を促進するソフトウエア製品およびソリューションの開発、販売、導入、サポートを行うACIワールドワイド(ACIW)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を下回って推移していますが、配当は2021年以降毎年増配しています。
3月8日以降株価が下落し、その後少しずつ株価が回復してきているものの年初の水準にはまだ戻っていません。
シリコンバレーバンク破綻による金融不安の影響を受けて、金融に関係する銘柄の多くの株価が下落し、フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシーズもその影響を受けて下落しました。
今後は戦略的見直しの一環として「マーチャント・ソリューション事業」をスピンオフし、成長とマージンの可能性を活用するための戦略的・業務的集中の強化を行い、資本配分と資本構造を長期的な成長目標と市場の潜在的ニーズに合わせると会社側は発表しており、これからの株価回復が期待されます。
業績動向
2023年8月2日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。
しかし、1株利益が前年同期を下回ったこともあってか株価はほとんど反応せずに推移しています。
会社側は第2四半期の財務目標を上回り、通期ガイダンスを上方修正し、以前に発表した分離計画を加速して、より戦略的柔軟性の高い高度に集中した二つのグローバル企業を設立することで、堅調な業績を達成できたことを大変喜ばしく思うとともに、これらの好業績は、事業による継続的な業務遂行とFuture Forward企業変革プログラムの成功を反映したものですとしています。
次回2023年11月2日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
傘下の決済サービス事業ワールドペイの株式55%を売却し、売却資金は債務返済と自社株買いに充当する計画であるが、これらの動きが一段落した際に目新しい材料が無ければ材料出尽くしとして売却される可能性がある点には注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:2.08ドル
配当利回り:3.69%
株価:56.29ドル(約8,200円)
この銘柄、権利落ち日は9月7日(権利実施は9月22日)です。
配当利回りは8月14日時点で3.69%、株価は8月11日終値が56.29ドルでおよそ8,200円から購入できます(1USD=145円計算)。
2020年からの最高値は157.44ドル、最安値は49.70ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株4:シルバークレスト・アセットマネジメント・グループ(SAMG)
超富裕層の個人および機関投資家に対して、ファイナンシャル・アドバイザリーおよび関連するファミリー・オフィス・サービスを提供することに重点を置いた、フルサービスのウェルス・マネジメント会社です。
ウェルス・マネジメント・ビジネスを名目とする企業がひしめく中で、2023年6月30日現在、シルバークレスト・アセットマネジメント・グループの運用資産は319億ドルで、1,000万ドル以上の投資可能資産を持つ個人およびファミリーを対象とし、2,500万ドル以上の投資可能資産を持つファミリーには、包括的な投資およびファミリー・オフィス・サービスを提供しています。
時価総額は2.8億ドルで、日本円で約406億円となっています(1USD=145円換算)。
事業の注目ポイント
事業は「資産運用事業(the investment management industry)」の単独事業です。
その中で売上の中心は「運用&助言手数料(Management and advisory fees)」で、続いて「ファミリーオフィス・サービス費用(Family office services)」、「成功報酬&資産管理費用(Performance fees and allocations)」となります。
「資産運用事業」では、株式、債券、現金に焦点を当てた伝統的な投資戦略のほか、ヘッジファンド、プライベート・エクイティ・ファンド、不動産、コモディティなどの非伝統的な投資戦略についても助言を行い、それ以外にもファミリー・オフィス・サービスや、ファイナンシャル・プランニング、税務計画・準備、パートナーシップ会計、ファンド管理、連結財産報告などの関連管理サービスも顧客に提供しています。
競合他社
競合他社として、代替資産管理ソリューション会社であるGCMグロブナー(GCMG)、主にサードパーティーのウェルスマネジメントサービスを提供する中国を拠点とする会社であるハイウィン・ホールディングス(HYW)、リバースモーゲージや住宅改修ローンなど、幅広い柔軟なソリューションへのアクセスを顧客に提供する専門金融消費者金融プラットフォームを提供するファイナンス・オブ・アメリカ・カンパニーズ(FOA)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は今回の9月配当から増配の予定です。運用成績が好調であることから、資金流入が続き運用資産が拡大しています。
2022年12月31日現在、一任運用資産の約68%は個人顧客向けに32%は機関投資家向けに設定されていますが、運用能力は複数の著名な機関投資家コンサルタントの承認リストに掲載され、その結果、機関投資家からの資産受け入れは大幅な成長が今後も続くと思われると会社側も発表しており、今後も好調な業績とそれに伴う株価の上昇が期待されます。
業績動向
2023年7月27日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を下回りました。
運用資産総額は前年同期比で287億ドルから319億ドルに拡大し、主に収益をけん引する一任運用資産は、第 1 四半期と比べて 2 億ドル増加しているものの、昨年と比べて市場が回復したことによって解約が増え、ここ一年間で見ると一任運用資産からの収益が減少しています。
しかし、会社側は機関投資家などとの新たな収益機会のパイプラインは引き続き堅調であり、「資産運用事業」への注力と共に、新たな収益機会にも注力していくと発表しておりこれからの業績回復が期待されます。
次回は2023年11月2日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。
注意点
会社側も発表していますが、マーケットに業績が大きく左右される業種であるため相場の大幅な変動の際には業績への影響が他の業種よりも大きい点には注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:0.76ドル
配当利回り:3.77%
株価:20.14ドル(約3,000円)
この銘柄、権利落ち日は9月7日(権利実施は9月15日)です。
配当利回りは8月14日時点で3.77%、株価は8月11日終値が20.14ドルでおよそ3,000円から購入できます(1USD=145円計算)。
2020年3月からの最高値は22.54ドル、最安値は7.32ドルとなっています(終値ベース)。