今日の為替ウォーキング
人は繰り返し行うことの集大成である。したがって優秀さとは、行為でなく、習慣である
Hound Dog
7月の雇用統計は、一段のインフレ上昇を心配するほど強くはないが、雇用市場の悪化を過度に懸念するほど弱くもない。「This is 最高にちょうどいい」結果となった。
就業者が2カ月連続で18万人台にとどまったことは、全般的な雇用増加の減速を反映している。10万人から20万人の増加数というのは、おそらくFOMC(米連邦公開市場委員会)が求めているレンジであり、NFP(非農業部門雇用者数)がこの水準で安定するならば、今後の利上げは、インフレ率に委ねられることになる。
BLS(米労働省労働統計局)が8月4日に発表した7月の雇用統計では、NFPは、ヘルスケア、ソーシャル・アシスタント、金融サービスなどの雇用が堅調で、18.7万人増加した。しかし事前予想の+20.0万人は下回った。前回6月のNFPは、20.9万人から18.5万人に下方修正された。
失業率は3.5%で、前月より0.1ポイント改善して7ヵ月ぶりの低水準となった。現在の水準は過去50年間で最も低く、働きたい人がほぼ全員仕事に就くことができる「完全雇用」状態である。「労働参加率」は62.6%で前月比横ばいだった。
失業率は2022年3月以来、3.4%から3.7%のレンジで推移している。FRBは2つのマンデート(法的使命)のうちのひとつである「最大限の雇用」をすでに達成した。あとは「物価の安定」である。
物価の安定に関連性を持つ平均労働賃金の伸びは、前月比+0.4%、前年比+4.4%で前月比横ばいだった。平均労働賃金は2022年3月の5.6%をピークとして緩やかな下降傾向が続いていましたが、2023年に入ってからは4%台半ばで下げ止まっている。
BLS雇用統計の18.7万人増に対して、民間版雇用統計であるADP全米雇用データの7月は32.4万人増だった。ADPのデータが間違っているのか、BLS雇用統計が間違っているのか、それとも両方とも間違っているか。いずれにしても、新型コロナ後は、経済データを正確に予想するのは困難になっている。
事前予想と結果のギャップ大きさよりも、就業者の増加数がこれまで1年以上も、予想より結果が多い、「アップサイド・サプライズ」が続いていたのが、前回から「ダウンサイド・サプライズ」になっていることに注意したい。なぜなら、これが米雇用市場のトレンド変化の初期サインかもしれないからだ。