今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは146.00

 ↓下値メドは145.00 

市場リスク:機関投資家の最大の関心は「米中地政学リスク」と「高インフレと高金利」。気候変動とエネルギー価格の懸念は大幅に後退  
クレカ利用:新型コロナ期間の貯蓄が底を尽き、カードローンが過去最高水準に
豪労働市場:失業率が50年ぶり低水準
豪労働市場:RBA「完全失業率の維持のため、経済と雇用はしばらくトレンド以下の成長が必要」 
スイス貿易:輸出+4.5%と好調。時計と薬品が好調。中国向けは158%の伸び 

市況

 8月15日(火曜)のドル/円は、円安圏で前日比ほぼ横ばい。24時間の値幅は0.78円。 

 2023年162営業日目は145.54円からスタート。米金利高を背景にした円安の流れはこの日も続き、東京時間夕方に145.88円まで上昇して年初来高値を更新した。ただ高値警戒感もあってその後は上昇の勢いが鈍った。

 NY市場では、米国の7月米小売売上高が予想より強い結果となったが、マーケットはNY連銀製造業景気指数が大幅に悪化したことに強く反応した。ドルが売られるなかで夜遅くには145.10円まで下げた。しかし145.00円を割ることなく戻して、終値は145.60円(前日比+0.06円)。

レジスタンス:
145.88円(08/15)
146.60円(22/11/10)
146.80円(22/11/09)

サポート:
145.10円(08/15)
144.65円(08/12)
144.39円(08/11)

MaketSpeedⅡ

 安定の円安である。日本と他の主要国との金利差は広がる一方だ。金利差が縮まり円高に動く気配が見えると、すかさず日銀が動く。円安で輸入インフレが悪化しても、企業は全く困らない。政府と日銀がためらいなく値上げをできる雰囲気を整えてくれたからだ。コストにさらにマージンを上乗せできるなら、逆に笑いがとまらないだろう。割を食うのは一般消費者である。

 昨年末にドル/円のトレンドが円高に転換したのは、日銀が12月の会合でYCC(イールドカーブ・コントロール)政策の変動幅拡大を通して実質上の利上げに踏み切ったことが引き金だった。今回、7月の会合で植田総裁がYCC政策を再調整したが、円安は止まらなかった。

 そうなれば、円安を止める手段は為替介入しかない。でも、それもあまり期待できないだろう。2022年10月に行われた為替介入のインパクトは大きかったが、円安を食い止めるのが精一杯で、トレンドを変えるほどの持続力はなかった。

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の為替ウォーキング

人は繰り返し行うことの集大成である。したがって優秀さとは、行為でなく、習慣である 

Hound Dog

 7月の雇用統計は、一段のインフレ上昇を心配するほど強くはないが、雇用市場の悪化を過度に懸念するほど弱くもない。「This is 最高にちょうどいい」結果となった。

 就業者が2カ月連続で18万人台にとどまったことは、全般的な雇用増加の減速を反映している。10万人から20万人の増加数というのは、おそらくFOMC(米連邦公開市場委員会)が求めているレンジであり、NFP(非農業部門雇用者数)がこの水準で安定するならば、今後の利上げは、インフレ率に委ねられることになる。

 BLS(米労働省労働統計局)が8月4日に発表した7月の雇用統計では、NFPは、ヘルスケア、ソーシャル・アシスタント、金融サービスなどの雇用が堅調で、18.7万人増加した。しかし事前予想の+20.0万人は下回った。前回6月のNFPは、20.9万人から18.5万人に下方修正された。

 失業率は3.5%で、前月より0.1ポイント改善して7ヵ月ぶりの低水準となった。現在の水準は過去50年間で最も低く、働きたい人がほぼ全員仕事に就くことができる「完全雇用」状態である。「労働参加率」は62.6%で前月比横ばいだった。

 失業率は2022年3月以来、3.4%から3.7%のレンジで推移している。FRBは2つのマンデート(法的使命)のうちのひとつである「最大限の雇用」をすでに達成した。あとは「物価の安定」である。

 物価の安定に関連性を持つ平均労働賃金の伸びは、前月比+0.4%、前年比+4.4%で前月比横ばいだった。平均労働賃金は2022年3月の5.6%をピークとして緩やかな下降傾向が続いていましたが、2023年に入ってからは4%台半ばで下げ止まっている。

 BLS雇用統計の18.7万人増に対して、民間版雇用統計であるADP全米雇用データの7月は32.4万人増だった。ADPのデータが間違っているのか、BLS雇用統計が間違っているのか、それとも両方とも間違っているか。いずれにしても、新型コロナ後は、経済データを正確に予想するのは困難になっている。

 事前予想と結果のギャップ大きさよりも、就業者の増加数がこれまで1年以上も、予想より結果が多い、「アップサイド・サプライズ」が続いていたのが、前回から「ダウンサイド・サプライズ」になっていることに注意したい。なぜなら、これが米雇用市場のトレンド変化の初期サインかもしれないからだ。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成

今日の注目テクニカルレベル

出所:楽天証券作成

コーンチャート分析(ドル/円、ユーロ/円)

出所:楽天証券作成
出所:楽天証券作成