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 米労働省が8月10日に発表した7月のCPI(消費者物価指数)は、コア指数が市場予想を下回る伸びにとどまった。インフレ率の下落傾向を印象づけ、FRBの利上げ再開に対する心配を減じる結果となった。その一方で、総合指数の伸び率が1年超ぶりに上向くなど、今後の不安要素も残した。

 総合指数は、前月比で0.2%上昇。エネルギー価格は0.4%下落したが、食品価格は0.5%上昇した。前年同月比では3.2%上昇した。市場予想の3.3%を下回ったが、伸び率は13ヵ月ぶりに上向いた。エネルギー価格の下落効果が小さくなったことが原因。CPIは昨年6月の9.1%をピークに、12カ月連続で下落が続いていた。

 コア指数は前月比で0.1%上昇して、市場予想の0.3%を下回った。中古車や航空運賃などの価格が下落したことが影響した。前年同月比では4.7%上昇で、市場予想の4.8%を下回った。伸び率の鈍化は4カ月連続。中古車や航空運賃などの価格が下落した一方、サービス価格の上昇率は高止まりしている。

 7月のCPIは、FRBによる金融引き締め強化の必要性を感じさせるものではなかった。FRBは次回9月FOMC会合で政策金利を据え置き、利上げの累積効果を見守るというスタンスを継続すると考えられる。

 ただし、インフレが沈静化するという見方はまだ確信を持てるものではない。一部には、CPIの低下は続かないとの慎重な意見もある。コアCPIの伸び率の鈍化は季節調整という「クセ球」のせいで、秋以降は逆に伸び率が激化する可能性があるというのだ。

 総合指数や生産者物価指数(PPI)の伸び率が13カ月ぶりにプラスに転じたことにも注意が必要だ。エネルギー価格や食品価格の変動によって、再びインフレ圧力が強まる可能性も否定できない。

 8月24日から26日にかけて開催されるジャクソンホール会合では、パウエルFRB議長が金融政策の見通しに関する発言を行うことが期待されていて、世界の金融市場が注目している。パウエル議長の発言次第では、金利や株価、そして為替に影響を与える可能性がある。

出所:楽天証券作成
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