2023年4-6月期決算は予想上振れ、産業用ネットサービスが成長

現地コード 銘柄名
00762

中国聯合網絡通信香港

(チャイナ・ユニコム・ホンコン)

株価 情報種類

5.49HKD
(8/10現在)

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 中国の3大通信キャリアの一角、チャイナ・ユニコムの2023年4-6月期の純利益は前年同期比14.4%増と、BOCIの予想および市場コンセンサス予想をいずれも上回った。EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)マージンの悪化幅が縮小したことが背景。スケールメリットの拡大で、産業用インターネットビジネスの売上高が16.3%増を達成した。中間配当は1株当たり0.203元の予定であり、前年同期比23%の増配。BOCIは株主還元の強化に向けた経営陣の決意の表れと受け止めている。また、2023年通期の配当性向は7.1%と依然魅力的な水準にあるとみて、同社H株の目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 4-6月期の純利益は前年同期比14.4%増の72億4,000万元と、BOCIの予想を2.6%上回った。主力の通信サービス収入は6.1%増と、ほぼ予想通りの水準だった。

 EBITDAは4-6月期に前年同期比5.4%増の278億元。EBITDAマージンは32.8%へ0.4ポイント低下した。ネットワーク運営・サポート支出の増大が響いたため。BOCIは独自の製品開発を目指す同社の戦略を考慮し、クラウド/AI(人工知能)関連ビジネスの研究開発と製品開発向けに費用がかさんだ可能性を指摘している。また、EBITDAマージンは下げ止まる兆しを見せ、企業向け業務の高成長を受けた採算性の改善をうかがわせている。企業向けビジネスと、従来型の消費者向けビジネスとの利益率の格差は縮小傾向にあるという。

 減価償却費は4-6月期に前年同期比1.7%増の868億元。対サービス収入比率は24.9%と、1.1ポイント低下した。主にチャイナ・テレコム(00728)との通信インフラの共同建設・共同利用が奏功した形。減価償却費の抑制を受け、4-6月期の純利益率は8.52%へ、0.6ポイント改善している。

 また、設備投資は上期に前年同期比2.7%減の276億元。チャイナ・テレコム社との共同建設・利用による効率化で、モバイルネットワーク投資の節約に成功した。

 イノベーションビジネスは高成長を遂げ、産業用インターネット収入は2023年上期に前年同期比16.3%増の430億元。サービス収入全体に占める割合が25.1%に達した。うちクラウドサービス収入は36%増の255億元。経営陣は2023年通期のクラウドサービス収入について、「500億元強」との目標を据え置いている。

 BOCIは設備投資の対売上高比率が22.9%に低下した点に着目。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を据え置いた。一方、レーティング引き下げにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、サプライチェーンの混乱がクラウドサービスや産業インターネット事業に悪影響を及ぼす可能性、中国企業への投資規制という米国の制裁が引き続き同社株のバリュエーションを圧迫する可能性を挙げている。