2023年4-6月期決算は予想下振れ、中国業務が下期の利益成長をけん引へ

現地コード 銘柄名
01876

百威亜太控股

(バドワイザーAPAC)

株価 情報種類

17.50HKD
(8/4現在)

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 アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACの2023年4-6月期決算は、売上高が前年同期比14.9%増加(為替変動要因を除外)。ノーマライズドEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は同11.1%増で、EBITDAマージンは1ポイント縮小した。BOCIは製品構成の悪化や商品開発投資の増大、原材料高騰を受けた韓国事業の業績下振れで、同期決算が予想を小幅に下回ったとしている。ただ、下期には韓国の業績が上向くと予想。さらに、コロナ後のリオープンに伴う中国業務の業績回復を見込み、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年下期について、BOCIは中国での販売回復が利益成長をけん引するとみている。コロナ後の外食の復調を受け、プレミアムビール(スーパープレミアムを含む)の販売が加速。その結果、販売量だけでなく、平均販売価格も上向くとみる。小売店舗レベルでのプレミアムビールの浸透率はまだ低く、プレミアム化の余地が残るという。中国の消費マインドは今のところ弱いが、経営陣は他の高級酒と比べた相対的な値ごろ感から、ビール市場におけるプレミアム化の流れを楽観視している。一方、韓国では他社に先行して値上げを行った影響で、飲食店でのプレミアムビールの販売シェアが低下したが、最近では他社との価格差が縮小傾向にあり、経営陣は下期の改善を見込む。BOCIはプレミアム化や製品値上げ、原材料価格の軟化が下期の粗利益率の改善を支えるとみる。

 4-6月期決算を見ると、ノーマライズドEBITDA(非支配持ち分や純金融費用、関連会社持ち分損益、非経常損益などを除外したEBITDA)は前年同期比4.2%増の5億9,300万米ドル。為替変動要因を除外すると、同11.1%増だった。内訳は、主に中国とインドで構成される「APAC(アジア太平洋)西」部門で20.3%増。韓国主体の「APAC東」では29.5%の減少となった(為替要因除外、以下同じ)。全体の売上高は14.9%増加したが、これは販売量の9.5%増と、平均販売価格の4.9%の上昇が背景。中国での飲食店需要の回復が寄与した。一方、単位当たりの売上原価は原材料高とプレミアム化を背景に、4-6月期に2.3%増大したが、原材料価格が落ち着いたことで、1-3月期の5.2%増より小幅の負担増にとどまった。EBITDAマージンは30.2%と、前年同期比1ポイント低下。粗利益率は1.1ポイント改善したものの、主に韓国での投資増が重しとなった。

 BOCIは2023-25年の予想売上高と粗利益率を小幅に引き下げ、予想純利益をそれぞれ9%、5%、5%、予想EBITDAを5%、4%、4%下方修正。APAC西と東にそれぞれ2023年予想EV/EBITDA倍率22.4倍、11.7倍をあてはめ、目標株価を引き下げた。新たな目標株価は2023年、2024年の予想PER(株価収益率)で45.5倍、38.1倍の水準となる。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、市場競争の激化、原材料の高騰、プレミアム化の進捗(しんちょく)の遅れ、コロナの影響の長期化などの可能性を挙げている。