日米市場の長期総収益パフォーマンスは米国より大幅に劣る
今年も内外市場は8月を迎えました。そこで、7月末時点での長期市場実績を米国株、世界株、日本株の総収益指数で比較してみました(図表2)。
「円建ての米国株」は出色のパフォーマンスで、約30年前(1993年初)を起点にすると21.8倍に成長してきました。本年これまでは「生成AIブーム」に加え、為替の円安(ドル高)傾向に伴う為替差益が寄与し、円建て米国株のパフォーマンスが向上しました。円建ての世界株式(MSCI世界株価指数の総収益指数)も1993年初対比で12.0倍となりました。
一方の日本株(TOPIXの総収益指数)は、近年こそパフォーマンスが改善しましたが、1993年初対比では2.9倍にとどまっています。米国は移民効果で総人口や労働人口が伸び続けており、そのGDP(国内総生産)規模は世界1位を維持しています。軍事上の優位性、イノベーション(技術革新)や資本主義経済をけん引する世界のコア(中核)的存在である状況に変わりありません。
なお、MSCI指数ベースで比較すると、米国株式市場の予想平均ROE(株主資本利益率)は約18%と他市場を圧倒しています。株主資本に対する利益率が高いことに加え、活発な自社株買いに象徴される「株主還元」を重視する経営姿勢、経営者の株価水準に対する意識度合いは世界一と言われています。
なお、過去の長期市場実績に基づき、米個人投資家には「Stay Invested」(長期投資こそ資産形成の本質)との投資教育が根付いており、株価が一時的に下落した際は「押し目買い」や「積み増し買い」の背中を押してきました。今後も、長期目線では米国株式を中心とする世界分散投資を構築することが合理的と考えています。